あなたは、なぜチェロを弾くの? だれに聴いてもらいたいの? ハリエット(=ハンク)のチェロを聴くために、フクロウがきます。そして、お月さまが空からおっこちて。ハンクは、寒くないようお月さまに帽子をかぶせ、赤いボートで湖に連れだしました。お月さまはいいます、「下の世界には、いろいろな音楽があるから、いいですね」。フクロウとアザラシとクマの助けを借りて、お月さまを空に返したハンクは、チェロに向かいます……透明な音楽が、みんなのこころに立ちのぼって……
『ねむるまえに クマは』『エイモスさんが かぜを ひくと』のステッド夫妻が贈る、語りと絵で紡がれた音楽絵本。音楽ってなんだろう。言葉では近づけないそのエッセンスを──小学校高学年向け。
とても幻想的で暗喩のような絵本です。
独り静かにチェロを弾きたいハリエットと、人前で演奏して欲しいと、ハリエットの演奏に期待を寄せる両親との葛藤の間で、彼女は不思議な世界に入り込みました。
心の世界でしょうか。
繊細でおぼろげな物語の中で、ハリエットは夜空を照らす月と友だちになります。
人のために何かをする、人のためにチェロを演奏する、心からの出口を、ハリエットは見つけたようです。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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