7時47分。ぼくは玄関をとびだし、ゴウゴウと走り出す。このままだと学校に間に合わない。今日は遅れちゃいけない訳がある。
ランドセルを背負い、帽子をかぶり、必死な形相で地面を蹴りあげ、いつもの道をまっすぐ駆けていく男の子。ところがなんだか変だ。何かが変だ。ワニが潜む水たまり、壁の高さを越えるほど大きな犬たち、ぐにゃぐにゃまがる歩道橋。51分、52分、53分……あせればあせるほど、景色が、時空が、ゆがんでいく。だけど今のぼくはそれどころじゃないんだ!
たった数分の出来事。けれど、彼の中では永遠に続くかと思われるほどの長い道のり。もどかしく、心が折れそうになるけれど。「どうか気をつけて、ちゃんとまわりを見て、だけどあきらめないで」手に汗をにぎりながら、でもこんな世界をどこかで懐かしく思い、応援をしながらページをめくる。すると最後に待っていたのは、時間を忘れるほど素敵な……。
日常の中で刻まれる平凡な時間を、強く印象的で魅力的な景色として描き出してしまうのは、人気の絵本作家ザ・キャビンカンパニー。凝縮した時間の中で繰り広げられる物語は、年齢に関係なく多くの読者の心を揺さぶります。この緊張感と解放感、どっぷりと浸ってみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
家を飛び出し、あわてて走る男の子。今日は絶対に学校に遅れちゃいけないのだ。でもゆくてには、水たまりじゃぶじゃぶ、歩道橋ぐねぐね、大きな犬たちがわんわん、踏み切りは閉まったまま。なんて、じゃまするものばっかり。さてこの男の子、学校に間に合うの? そして最後に待っているのは……。にぎやかハッピーな世界を突っ走るスピード感あふれる絵本。いつもの通学路が冒険の旅に変わるかもしれない!?
ナンセンスえほんですが、インパクトの強さに圧倒され、意外なエンディングにちょっと感動してしまいました。
学校に遅刻しないようにと気が急いた少年には、いつもの光景が別のものに見えてくるのでしょうか。
列車の車輪がレールの上でたてる音が強烈です。
それだけに100年に一度だという金環日食が、気持ちを別世界に持っていってしまいました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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