大きな山のふもとに暮らす、ミン・ロー夫妻。小さな自分の家を持っていましたが、山のために日当たりが悪く、おまけに山から岩や石が落ちてきて、屋根に穴をあけてしまうのです。奥さんはミン・ローさんに「あんた、ひとつこの山をうごかしておくれ」と言います。どうやって? と問い返すミン・ローさん。奥さんは賢者に知恵を借りにいくように言います。そこでミン・ローさんは、村の賢者のところへ行ってどうしたらよいかと尋ねるのですが……。
「がまくんとかえるくん」シリーズ(文化出版局)が長年愛されてきたアーノルド・ローベルにこんな作品があったとは、と意外に思う人も多いかもしれません。中国風のイラストからはローベルだと一見わかりませんが、線の味わい深さ、あたたかさには、確かにローベルの息遣いも感じられます。
鍋やたらいを大きな音をさせて叩いたり、ダンスのように右足をうしろへ引いて、左足をうしろへ引いて、交互に足を動かすと……いつの間にか山が動いていた! というユーモアは、大人にもクスッと笑えて、視点を転換しつつそっと現実に寄り添うような優しさがあります。「俺らの踊りが効いたぞ」「あの山をうごかしたのは自分たちなんだ」……というミン・ロー夫妻の満足感がなんともくすぐったい読後感です。
個人的には、子どもに読み聞かせをするとき、パイプの煙をくゆらせながら重々しくアドバイスする賢者のセリフをもっともらしく読むのがおすすめ。4、5、6歳くらいのお子さんとぜひ読んでみてください。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
大きな山のふもとに暮らすミン・ロー夫妻は、山から岩や石が落ちてきたり、日当たりが悪いことに悩み、村の賢者へ知恵を借りに行きますが…。アーノルド・ローベルの中国風イラストが新鮮な、クスっとわらえる昔話。
まるで昔話のようなお話でした。
解説で再話と書かれていないか探したほどです。
子どもは賢者のくゆらす煙がどんどん増えていくことや
全く効果のないアドバイスや
だまされた感じの結末に笑っていました。
「がまくんとかえるくん」のアーノルド・ローベルが
こんなお話をかいていたとは
図書館で見つけて、思わず手に取ってしまいました。 (まことあつさん 30代・ママ 男の子11歳、男の子8歳)
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