カメが「とってください」と頼むと、サルやハトやキリンが、木の上からいろいろなものを取ってきてくれます。動物たちのほほえましいやりとりが楽しく、鮮やかな色彩が美しい木版画の絵本です。
子どもは、人のものを欲しくなったり、大人や年上の人と同じことをしたがるものです。この絵本に登場するカメも、自分の手の届かない、高い木の上にあるりんごやみかん、さくらんぼを欲しがり、動物たちに「とってください」とお願いします。そんなカメに子どもたちは共感を覚え、心やさしい動物たちに安らぎを感じるでしょう。福知さんならではの木版画の力強い線と鮮やかな色彩で、カメと動物たちのほほえましいやりとりが見事に表現された絵本です。
木版画の動物たちの表情が、あたたかみがあって何ともいえず良い感じです。ことばとしては、「○○さん××をとってください」と「ありがとう」が、見開きで交互に繰り返される絵本です。
この繰り返しが、1歳7か月の娘にはちょうどはまったようで、すっかり覚えていっしょに言おうとします。次に出てくる動物も覚えていて、「ありがとう」を読み終わると、次のページの動物の名前を言って期待して見ています。
福音館書店の0.1.2.えほんシリーズは、紙の厚さがあるので、小さい子がページをめくりやすいのが良いですね。一人で遊んでいるときに、本を出してきて「ぞうちゃん、みたんとってたたちゃい」「ありあとー」と発音は怪しいもののページをめくりながら自分で本を読んでいて驚きました。かめさんが何かとってもらうたびにちゃんと「ありがとう」をいうからか、娘は最近よく他の場面でも「ありあとー」を言うようになりました。
かめさんがとってもらうのが、食べ物だけでなく、お花やきれいな葉っぱも、というところも何だかすてきです。「壮大なドラマ」ではないかもしれないけれど、安心して繰り返し読める絵本です。 (まっくろくろすけさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子4歳、女の子1歳)
|