ユカが東京から転校してきてから、マサル達の教室は大さわぎ。でも、まさか結婚式までもちあがろうとは・・・。
高度成長期の山間部の村の話です。
時代を背景に、子どもの心の様子がみごとに描かれています。
東京からやってくる転校生のユカにお嬢様を想像していたら、予想外の身なりで予想外に負けん気が強くて、がっかりしたマモルでしたが、ユカの家族構成が判っていくうちに、親しさを深めていくのです。
子どもたちが少々粗削りでいながら、純朴だった時代の、子どもたちの世界の中で描かれています。
ガキ大将に向かっていくユカ。
学校をボイコットするユカ。
山にはダムの建築が進んでいて、湖に沈む村の人間からすればダム工事の人間は敵。
しかもユカの父親は監督だというのです。
お話の中で、ユカの嘘の皮がはがされ、ユカの生い立ちが判っていきます。
可哀そうに思えてきます。
振り回されて、「結婚」や「新婚旅行」にまでつきあってしまうマモルですが、マモルが本当のユカを知った時に、ユカはまた転校してしまうのです。
「また、転校先で嘘の生活を始めるのだろう。」
そう思うマモルはそのことで成長していきます。
少し古びた風景の中で、心温まるお話でした。
子どもたちには新鮮なのではないでしょうか。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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