奉公を終えて故郷に帰るハンスに親方は大きな金のかたまりをくれました。 しかしハンスは、それを馬、雌牛、豚と、次々と別のものに交換してしまいます。 ハンスは故郷に、いったい何を持ち帰るのでしょう?
『おとっつぁんのすることは、いつもいい(子どもに語るアンデルセンのお話・2に収録)』されているお話と根っこは同じでした。
このお話のもとは『グリム童話』から作られているそうです。
じっくり読むと、とても面白い作品です。
ハンスは親思いらしい優しい子ですが欲がなさ過ぎて、
帰り道で物々交換を繰り返し、最初にもらったものの価値がどんどん下がってくるのに、全く気にしていない。
そこが読者をハラハラさせますが、読み終わったころには、ハンスの心根の優しさ(と、少しばかりのバカらしさ)に癒される気がして、
あぁハンスは幸せ者だなぁと感じます。
再話絵本を作っているホフマンは、
真っ白な画面に、ハンスの動きや関わりのあるものだけを描くというとても個性的な技法このお話も楽しく描いてくれています。
見ている方は、いつの間にか1ページ1ページのハンスのやり取りから目が離せなくなっていきます。
邦訳は瀬田貞二さんで簡潔な文にまとめて、各ページ1行で表現してあります。これは瀬田さんのアイディアでしょうか?それとも担当の編集さんのアイディアでしょうか?
ホフマンの絵とすごく合っていてよかったです。
元々が昔話なので、小学校低学年くらいから大人まで楽しめる作品です。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子11歳)
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