コウモリのルーファスくんは、じぶんの黒い衣装にうんざりしています。 あるとき、うまいぐあいにだれかが「えのぐばこ」をおきわすれて くれていたので、ルーファスは、耳を赤く、つめは青く、あしは むらさきいろに、じぶんをきれいにぬりかえました。そして ごきげんで、日の光のなかへとびだしていったのですが……。
いつもと違う世界に足をふみいれたルーファスが、 みつけたものとはなんだったのでしょうか。ウンゲラーが描く、 夜の黒と昼間の鮮やかな色のコントラストもすてきです。
「すてきな三人組」で知られるトミー・ウンゲラーの作品。
初版は1980年で、邦訳は2011年となっています。
ウンゲラーと言えば、「オットー戦火をくぐったテディベア」「あおいくも」のように戦争を題材に考えさせられるもの、「エミールくんがんばる」「へびのヘクター」のようにほのぼのさせてくれるものと色々な側面があります。
今回の作品は、ほのぼの感がありつつも、考えさせられる作品に仕上がっています。
主人公のコウモリのルーファスは、自分の黒い衣装にうんざりしています。
夜行性ですから、黒の世界が基調なのですが、あるとき、屋外で上映されているカラー映画を見て、色のある世界に憧れます。
そう、夜でなく昼の世界に踏み入りたいと思ったのです。
そこで、眠いのを我慢して朝まで起きていて、昼の世界を初めて目にするのですが、色に溢れた世界に驚愕してしまいます。
自分も着飾ろうと、落ちていた絵具で彩色して飛び立つのですが、飛び立つや否や、人間に打ち落とされてしまうのです。
後半は、人間とのやり取りが描かれているのですが、隣の芝生は良く見えるといったところでしょうか?
勿論、知らない世界に踏み出すということは、至極大事なこと。
疑問を持たないで生きていたら、それこそ、何の成長も望めません。
やってみて、判断すれば良いだけの話です。
そんなことを諭してくれるような作品で、ウンゲラーらしい作品と言えそうです。
安心して読み聞かせできる作品としてオススメします。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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