わたしは「あかい」くつしたが好き。 「あかい」うわぎがいちばん好き。 ながぐつだって「あか」、てぶくろだって「あか」。 パジャマだって、コップだって、ピンどめだって。 もちろん絵の具も「あか」がいちばん。
「おかあさんったら あかのこと、なんにも わかってないんだよ」 女の子は言います。
確かにおかあさんは「こっちの方が似合うでしょ」「穴があいてるからやめなさい」「それじゃ寒いでしょ」「何色だって一緒でしょ」って。おかあさんですからね、そりゃ言います。
でもね、女の子はわかっているんです。「あか」には特別な力があるってこと。「あかいくつした」なら、いつもより高くジャンプできるし、「あかいてぶくろ」なら上手に雪玉がつくれる。「あかいパジャマ」を着ていれば、寝ている間におばけを追い払ってくれるし、「あかいピンどめ」をすると、髪の毛が笑い出す。
彼女は「あか」が大好きなのです。わかる、わかるよ。 大人の私も思います。「あかって、とっても素敵な色だよね。」
子どもの「好き」を、こんなに明確に愛らしく描いた絵本があるでしょうか。 そして、それは何かを「好き」な人たちの心を確実に捉えて離さないのです。 カナダ生まれの世界的ロングセラー絵本、待望の復刊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
おかあさんは ちっとも わかってくれないけれど、 あかって とってもいい いろなの。 あかいくつしたをはくと いつもよりずっと たかくとべるし、 ジュースだって あかいコップで のむほうが だんぜん おいしい。 わたしは あかが だいすき。だって、あかは せかいで いちばん すてきな いろだから……。 カナダで1982年に刊行され、多くの賞にかがやいた、 世界的ロングセラー絵本。
「おかあさんったら あかのこと、なんにも わかってないんだよ。」
こんなドキッとする言葉で、「わたし」のおはなしが始まります。
赤い靴下、赤い上着・・・彼女が語る赤が好きな理由、どれもふるっているんです。
彼女でなければ気付かなかったかもしれない、赤の魅力。
「だけど あかいピンどめをすると、かみのけがわらいだすんだよ」
みずみずしい感性が羨ましいなぁ。
お母さんに反抗したいだけ、じゃないんですよね。
でも本当は、お母さんの気持ちの方が分かるんです。
上の息子も、赤い服にこだわった時期がありましたから。
どこまで合わせればいいのか、息子のいいなりになったらわがままな子になるんじゃないかと、
当時は結構悩んだものです。
もっとゆっくり話をきけば良かったのかな、と今は思います。
「どうして赤なの?」と理由を聞いていたけれど、
「赤が好きなんだね。」って話していたら
この女の子みたいに言葉にできなくても、何か分かち合えることがあったかもしれないし、
結局、赤以外を選択することになっても、気持ちの折り合いがつきやすかったかもしれない、なんて。
シンプルな文章と絵に赤が映えて、とても印象に残る作品でした。
譲れない、大好きなものがある幼児さん〜園児さん位のお子さん、
そしてお母さんにおすすめです。 (ランタナさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子6歳)
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