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鎌倉時代、僧の源信が『往生要集』の中で説いた八大地獄をもとに、ユーモラスにちょっぴりこわく地獄をご案内。
【あらすじ】
地獄めぐり3作品の、最終章。今回は八大地獄の最後の3つ、「焦熱地獄」と「大焦熱地獄」、「阿鼻地獄」をご案内。生前、食べ物を粗末にしたり、悪いことをした亡者は、鬼に痛めつけられた上、食材になって鬼に食べられてしまう。運よく逃げ出したとしても、別の地獄が待っている。しかし、お地蔵様が助けに来てくれる事もある。…そんな地獄の様子を、見学し終わって、キクマロとミルメは無事にお寺に帰る。
【感想】
これを見ると、悪いことは絶対にしなくなると思われる、トラウマになりそうな恐ろしい場面が、適度に汚い感じの素敵な絵で丹念に執念深く描かれている。地獄、啓発運動に役立って、作者もあの世に行く時は、功労者として優遇されるのだろう。
今回は、亡者を使ったお料理教室。亡者は切り刻まれ、ミンチにされ、いろんな料理になっていた。ハンバーグやつくねを見たら思い出しそうだ。最近、この絵本の影響か、お肉売り場に行くと、亡者が解体されて並んでいる気がして、肉を食べる気にならない。ダイエットしたい人は必読。人間で料理を作ると、おぞましい感じがするが、実は、人間は他の動物でこのような無残な、残酷なことをしている。動物を殺して食べている。楽に死ねるように、必用だから殺すなら、まだしも、わざわざ生き物を苦しめたり、残酷な方法で殺したりしている。この絵本を見ると、人間は全員、地獄行きのような気がした。
地獄は、間接的に苦しみを与える刑罰も充実している。人の子を殺した人は、自分の家族が目の前で怪物に食われるのを見る罰を受ける、という。私は、この刑罰の効果についてはちょっと疑問。本当に自分勝手な場合は、例え身内が殺されてもなんとも思わないのでは。むしろ、邪魔者が消えたと喜んでいる人も多いかも…そういう場合は、別の地獄にいくのかしら。適材適所で。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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