おとうさんを迎えに、河口の町、ピン・ミルにやってきたウォーカー家の子どもたちは、帆船ゴブリンをあやつる青年、ジム・ブラディングに会い、いっしょに川くだりをして遊ぶことにします。本式の帆船に泊まれるとあって子どもたちは大喜び。ところがジムがいない間に、ゴブリンは霧にまかれ、錨を失い、外海へと流れ出てしまいます。悪天候のなか、ひきかえそうとするジョンやスーザンの必死の努力にもかかわらず、船は北海を東へまっしぐらに進みます。やがて悪夢のような嵐の一夜が明けてみると……。
作家として脂が乗りきったランサムが描く、シリーズ中、もっともスリルに富んだ物語。
今回はウォーカーきょうだいだけの冒険になります。
いえいえ、実は最初だけは、たまたま一時期帰還するお父さんを迎えにいった東部の海岸近くで知り合ったジム青年と一緒でした。
ところが、とんでもないアクシデントが続き、ウォーカーきょうだいはたった4人だけで、カッター(帆船)で外海に出ることになってしまう物語です。
荒れ狂う波に、ヨットや帆船に乗りなれているはずのスーザンは(ティティもだけど、ティティは頭が痛くなったくらいで、スーザンほどではない)、生まれて初めて船酔いするんですが、小さな子どもたち(ティティやロジャ)を守るはずの自分がこんなことありえない!と、葛藤している様子は、読んでいてこっちも船酔いしそうでした。
ほんと、ランサムはそういう1つ1つの個性を主張しすぎず物語の中に溶け込ませることがうまいな〜と、思いました。
ジョンも長兄としていろいろ頑張りますよ〜。
他の冒険の時は最近すっかりナンシーのやることのサポート役に徹していましたが、普段しっかり者のスーザンがいろいろテンパって半狂乱になっていても、スキャッパー(船長)としてみんなと船の安全を第一に考えた最善策を遂行します。それが、外海に出るしかないことでも!
いや〜、毎回いつもそうなのですが、このシリーズは一度読み始めると、もう続きが気になって気になって、ドキドキしながら子どもたちと冒険に出ている自分がいるんですよ〜。
時にはジョンになったり、スーザンになったり…。
この物語が書かれた当時、まだそれほど世の中が便利すぎていない時代。自分たちにできることを必死にやろうとする冒険者の子どもたちがとても愛おしくなります。
私は小さな船ではすぐ船酔いしてしまう性質ですが、彼らが乗る帆船になら乗ってみたくなります。
今回はがっつり船の中のことがメインなので、女の子より、どちらかというと乗り物や海、冒険が好きな男の子たちにぜひお勧めしたいです。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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