可愛らしい表紙の絵とタイトルに、すっかり楽しいお話だと思って読み聞かせしたところ、予想をはるかに超えた展開に驚きました。
「太陽の光を浴びると消えてしまう」
「パパの作るケーキと同じくらいおいしい」
そして、おそろいのリボンとちょうネクタイ。
これらの伏線が、最後こういうお話になるのですね。
おばけになると、生きていた頃の記憶は無くなってしまうのでしょうか。
大好きなパパが目の前にいるのに、自分のことを全く覚えていない・・・
女の子は寂しかっただろうと思うのですが、それでも、毎日のようにパパのケーキを食べ、おしゃべりをし、楽しい時間を過ごせた女の子は幸せだったと思います。
そしておばけのパパも、自分の娘のことは全く記憶に無くても、たとえ自分が消えることになっても、最後に最高のケーキを女の子に渡したかった。
本当のことを伝えてあげれば良かったのに・・という思いもあります。
でも、たとえ娘だということを伝えなくても、二人の間には確かに目に見えない愛情がありました。
きっとおばけさんも、自分の娘といるように過ごし、幸せだったに違いありません。
素敵なお話に、幻想的で美しい挿絵。
読み終えて、せつないような、優しい気持ちになれる絵本でした。