そらまめくんの宝物は、ベッド。雲のようにふわふわで、わたのようにやわらかいんです。 えだまめくんや、グリーンピースのきょうだいたちが「そのベッドでねむってみたいなあ」といいますが、「だめ、だめ」と誰にもつかわせようとしません。 ところがある日、大事なベッドがなくなってしまいます。 さんざん探して、とうとうベッドを見つけたそらまめくんは・・・?
「くれよんのくろくん」「こぐまのくうぴい」「どんぐりむら」など数々のヒットシリーズをもつなかやみわさんのデビュー作。「そらまめくん」シリーズの記念すべき第一作目です。 頭に黒いすじがある、下ぶくれな形がキュートなそらまめくん。 そらまめくんの住む場所には、どんぐりのカップが置いてあったり、草葉の露で顔を洗う場所や、干し草のタオルがあったり・・・細かい絵にわくわくしちゃいます。 ベッドをかしてもらえなかったお豆仲間がさいしょは冷ややかなのに、だんだんそらまめくんがかわいそうになっていっしょにさがしてあげるところ、ベッドを見つけたそらまめくんが、迷って(すぐ取り返さずに)しばらく様子をみるところも、小さな読者の共感をよぶポイントです。 「かして」「だめ」「いいよ」って、お友達とかかわりはじめるときの、はじめの一歩ですものね!
ほかのお豆たちのベッドに寝てみたそらまめくんが「ちいさい」「かたい」と困り顔のシーンには、かわいそうだけどくすっと笑ってしまいます。お豆のさやってほんとうに形が様々。なかでもとくべつフカフカなのがそらまめくんのベッドですから、実物をさわってみたくなりますよね。 ラストシーンではみーんないっしょにねむったお豆さんたち。 読んでいるわたしたちも、やさしい気持ちになること、まちがいなしですよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
そらまめくんの宝物はふわふわのベッド。だからだれにも貸してあげません。ところが、そのベッドが突然なくなってしまったのです……。愉快なそらまめくんの楽しいお話。
この絵本は、次女がお気に入りでした。そらまめくんのベッドが卵を温めるのに使われた、という意味が分からなかったらしく、春になったときにそらまめをさやごと買ってきて、剥かせてみました。そこでやっと、そらまめのからは柔らかい、だから、卵を温めるのに使ったんだ、と納得していました。
でも、この絵本のいいところは、きっとそこではなくて、初め意地悪をしていたそらまめくんが、最後はお友達みんなにベッドを貸してあげるところ。自分だけで独占しないで使えるって、子供には(大人にも、ですね)難しいことだからこそ、学んでほしいところです。
そして。そらまめくんの気持ちも考えてあげないと。貸してくれるように頼むのもなかなか勇気がいることだけど、貸すのにも勇気がいることだから。
そんな両方のことをこの絵本からかんじることができるかもしれません。 (セルバさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子5歳、男の子0歳)
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