新刊
どうぶつのわかっていること・わかっていないこと

どうぶつのわかっていること・わかっていないこと(小学館集英社プロダクション)

「答えのない問いに向き合う力」をはぐくむ新感覚の絵本

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新刊
世界の国からいただきます!

世界の国からいただきます!(徳間書店)

世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!

のきこ

ママ・30代・群馬県、男6か月

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のきこさんの声

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自信を持っておすすめしたい とにかくかわいい  投稿日:2010/09/29
こりゃ まてまて
こりゃ まてまて 作: 中脇 初枝
絵: 酒井 駒子

出版社: 福音館書店
・・・ああ、これ好きです。買いたい。とにかくかわいい。
酒井駒子さん、お名前はMOEで度々目にしていましたが、きちんと読んだことはなく。
こどもが、ちょうやとかげをおいかけて「こりゃまてまて」でも、にげられる、の繰り返しで、最後は子供自身が「こりゃまてまて」とお父さんに言われて捕まえられ、お散歩に。
中脇初枝さんの文章もきっといいんでしょう。こどもの自然なかわいさが描写されていて、しかも絵もすごくいい。
比べると比べた方を貶めるようでいけないのかもしれないけれど、林明子さんの「おててがでたよ」は、こどものかわいらしさを強調するために大きめの服を着せて、「きゅっきゅっきゅっ」では、ぬいぐるみを 小道具として使ったのだけれど、「こりゃまてまて」は自然なかわいらしさがあると思いました。
大人に堪らない絵本ではないかと。
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自信を持っておすすめしたい 驚きがいっぱい  投稿日:2010/09/26
絵本が目をさますとき
絵本が目をさますとき 作: 長谷川 摂子
出版社: 福音館書店
「絵本が目をさますとき」長谷川摂子(福音館)

とても興味深く読みました。あとがきに、「ブックスタート時の読み聞かせの参考に」と言う声に応えて「母の友」連載の文章をまとめたとありますが、お母さんが気軽に読むにはちょっと重たいかも、と思わないでもない。でも、読み聞かせのボランティアに興味がある人なら、とても参考になると思いました。

特に、最初の3章の具体的な読み聞かせの仕方に、ぐっとわたしは心が惹きつけられてしまいました。さすがに、長年、保育の現場で読み聞かせを実践してこられた方だけあります。

「くだもの」平山和子(福音館)

この絵本は、色々ブックリストに載っていて興味がありながら、果物の絵とその果物を剥いた絵が交互にあり、文章もごくごく短い言葉だけ、ということから、一体どんなふうに読むのだろうか、と疑問に思っていた一冊です。
それを、こんなにも魅力的に読む方法があったとは!?
赤ちゃん向け絵本は、語りかけ、対話が大事なのだと思わされました。

そして、

「おつきさまこんばんは」林明子(福音館)

についても同様です。こんな読み方があったんだ、と言う驚きで一杯です。


さて、本書は、赤ちゃん向け絵本として適しているもの、ということから、そこから物語絵本へと移行するための必要段階、個性的な絵本作家の紹介、良い絵本を選ぶときに欠かせない絵の問題について、そして、キッチュ絵本と物語絵本の違いなどについて書いてあります。

わたしが、上にあげた具体的な絵本の読み方以外にとても興味深かったのは、あかちゃん絵本と物語絵本との違いを子供の心の成長から書いた部分です。

あかちゃん絵本は、日常の言葉で、日常の自分のままで読むことができますが、物語絵本は、日常の自分を抜け出し、登場人物になりきることができないと、その世界に入ることができないのです。

そして、そんな物語絵本には、現実をサバイバルすべく緊張感を強いられる「おおかみと7ひきのこやぎ」(自分の無力感)や「三匹のやぎのがらがらどん」(強者礼讃)のようなものと、自己肯定感を無条件に認める、予定調和の世界である「ぐりとぐら」や、「ぞうのババ―ル」がある、ということです。

それから、良い絵本を選ぶには、結局は個人それぞれの育ってきた環境や感性のありようの問題、個人的な嗜好の問題であるという部分を読んで、読み聞かせる側の感性を磨く必要性というものも感じました。

でも、そんな難しいことを考えなくても、一番は、読み聞かせた相手の笑顔であることはもちろんなのですが。

買って手元に置いておきたい本だと思いました。
長谷川さんは、理論と実践が理想的に結びついた方なのではないでしょうか
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なかなかよいと思う 理想の帰郷  投稿日:2010/09/24
おじいちゃんのところ
おじいちゃんのところ 作: ヘレン・V・グリフィス
絵: ジェームズ・スティーブンソン
訳: 秋野 翔一郎

出版社: 童話館出版
なんの事情かはわからないが、ある日お母さんが
「そろそろ、あなたを、おじいちゃんに会わせたいわ」
と言ったことから、ジャネットは、お母さん方のおじいちゃんのところに行くことになります。

母親から聞いていた話では、とても楽しそうだったので、期待をしながら。
でも、待っていた現実は、古ぼけた家と荒れ果てた庭、壊れかけた小屋や柵でした。家畜やペットからも歓迎されているようには思えないジャネットは、失望するのですが・・・。

ここのおじいさんは、こだわりがなく、物事をそのままに受け入れるユーモアのある人です。おじいさんの法螺話に魅了されたジャネットは、おじいさんとの距離を次第に縮めていきます。一緒に過ごすうちに、最終的には、おじいさんの物言いを真似して、言い負かすまでになるのです。そして、おじいさんは、そんな孫娘のことを嬉しく思うのです。

淡々とした筋運びですが、読んでいて心温まる作品です。

「おまえが、なにもしてやらなくても」「そいつは、ただおまえがすきなんだ」

と言うおじいさんの言葉が心に沁みます。詳しい事情は一切語られませんが、これは一種の癒しのストーリーであるのかも知れません。
ありふれた帰郷物語のようでいて、どこにもない理想を描いたようにも思えます。
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なかなかよいと思う 素晴らしい完成度の高さ  投稿日:2010/09/14
おじいちゃんわすれないよ
おじいちゃんわすれないよ 作: ベッテ・ウェステラ
絵: ハルメン・ファン・ストラーテン
訳: 野坂 悦子

出版社: 金の星社
「おじいちゃん わすれないよ」
ベッテ・ウェステラ作、ハメルン・ファン・ストラーテン絵

オランダで出版。2001年度のブラスティヴァの世界絵本原画展「金のリンゴ賞」受賞。この賞は、歴史ある世界的な絵本賞であるらしい。でも、賞は絵に対してなのか、文章に対してなのかよくわからない。絵は、それほど新味もないオーソドックスなものなんではないかと思うけれど。

さっと読んで、隙がなくよく練られている作品だなぁと思った。
現実からおじいさんとの回想場面がいくつも繰り返されることにより、2人の楽しかった日々が十分わかるし、伏線としても、小道具としても、赤いハンカチが重要な使われ方をしている。これがラストでとても効果的に演出されている。

@現実 おじいちゃんの部屋のヨースト。悲しむヨーストに、ママは、おじいちゃんとの思い出の赤いハンカチを渡す。
A回想1 おじいちゃんとのカウボーイごっこ。ハンカチは、ヨーストのバンダナに。
B回想2 おじいちゃんとの海賊ごっこ。ハンカチは、海賊船の旗。
C回想3 おじいちゃんと家出。ハンカチは、お弁当の包みに。
D回想4 おじいちゃんと自転車の練習。ハンカチは、膝こぞうのけがの包帯。
E回想5 おじいちゃんとの約束。ハンカチは、結び目を作って、約束を忘れるのを防ぐため。
F現実 迎えの車が来て、墓地に向かうヨースト。ヨーストは、おじいちゃんの棺に土をかけるのを拒否する。
G回想6 おじいちゃんと砂浜で遊ぶ。すっぽうまっていたおじいちゃんは、アイスやが来ると起き上がってアイスを買ってくれる・・・。ハンカチは、おじいちゃんの頭を包む。
H現実 ママがヨーストにハンカチでできるいいアイディアを教えてくれる。
Iラスト ハンカチに結び目を作ったヨーストは、おじいちゃんのことを忘れないよと、誓う。

なんと見事な、よく考えられた構成。
やはり教科書に載ってもふさわしいような内容。

でも、実はあまりに整い過ぎて感動に乏しいような気もする。
ジョン・バーニンガムの「おじいちゃん」の換骨奪胎のような気もする。
でも、バーニンガムに感じられるような詩情が足りないような。
そんなこんなで、よくできた作品だけれど、印象が薄いのがちょっと残念。
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自信を持っておすすめしたい 分かち合う思い  投稿日:2010/09/04
あこがれの機関車
あこがれの機関車 作: アンジェラ・ジョンソン
絵: ロレン・ロング
訳: 本間 浩輔 本間 真由美

出版社: 小峰書店
偶然手に取ったこの絵本に魅入られてしまった。

 「あこがれの機関車」アンジェラ・ジョンソン

主人公は、ミシシッピで家族で綿花摘みをしている黒人の少年。少年には憧れているものがある。
南から北へと走る機関車だ。そして、機関車を走らせる機関士のケーシー・ジョーンズにも。

機関車は、苛酷な現実から希望の土地へ少年を運んでいってくれるものであり、黒人の助手と一緒に機関車を運転する、勇敢なケーシー・ジョーンズは、少年にとってのヒーローである。そして、ケーシーの鳴らす、少年の心に強く響く特徴的な汽笛は、希望の象徴なのだ。

少年の父親の、
「汽笛が遠ざかっても その音は昼も夜も1日中鳴り続け、お前の心に語りかけるのさ」
という言葉が心にしみる。汽笛は、まるで少年に何かの覚醒を促しているかのようである。

初めは、受け身だった少年は、ケーシーの悲劇的な事故を機に変わる。絶望する少年に父親は、

「いいや、終わりはしないさ。他の列車や機関車がかならずあらわれる。」

と語り、少年は、自分の身近にずっと同じ思いを抱えていた人間がいたことに気付くのだ。

同じ思いや願いを分かち合えることの力強さが、感動的に胸に迫ってくる場面だ。



そして、本文もそうだが、どことなく、クリス・ヴァン・オールズバーグに似ている絵も、素晴らしい。
特に、本文6ページの絵が詩的で心に残る。少年が線路を伝い歩く場面で、線路の下は池のようだ。少年の足元には、帽子をかぶった男の影が映り、水面にはハスの葉が浮かび、波紋が広がっていく。少年の心の中でケーシーへの憧れが育っていく心象風景を見事に表した場面だと言える。


ただし、この話は事実を基にしてあるそうで、そんな事情から起因してか分かりにくい部分もあるのではないかと思う。巻末に、簡単に機関士ケーシー・ジョーンズと彼の悲劇的な事故、その時代の黒人が彼に寄せる気持ちを簡単に説明してあるのだが、それを読んだとしても、本文にこれはどういう意味なのだろうかと首を捻らざるを得ない部分があった。

しかし、その部分を差し引いたとしても、この作品の持つ力強さは心を打つ。

筆者の、アンジェラ・ジョンソンは他にも作品を描いているようだが、そちらにも興味が出てきた。
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自信を持っておすすめしたい 空想の力  投稿日:2010/08/31
おおきな きが ほしい
おおきな きが ほしい 作: 佐藤 さとる
絵: 村上 勉

出版社: 偕成社
わたしの住んでいる市では、記念樹として、蜜柑、ブルーベリー、柿の中から好きなものをくれます。
柿は既に実家にあるし、ブルーベリーはちょっと樹として物足りないのでは、と思って蜜柑の木をもらいました。アパートでは、植えられないからと実家に持っていく予定でした。
それが・・・なぜかまだアパートのベランダに。
一旦は葉が全部落ちてしまって、枯れてしまったかと思って慌てたけれど、どうやらまた若葉が芽吹いてきました。
結構生命力が強いのが感動的です。


木、というと「おおきなきがほしい」の絵本を思い浮かべます。

「おおきなきがほしい」(さとうさとる)



自分が子供の時にも読んで、今読んでも楽しい絵本のロングセラー。
話は、単純で、主人公のかおるが、「こんなきがあったらいいのになぁ」とただひたすら空想を広げていくだけ。でも、それが読んでいる人間にとても楽しい。
木にはしごをかけて登っていくと、そこには秘密基地のような自分だけの小屋が。小屋の中ではホットケーキだって焼くことができます。お客さんは、せみやとんぼ、りすや小鳥。妹だって入れてやってもいい。

かおるは自分の空想をお母さんに聞かせ、お母さんはそれを微笑ましく聞いているけれど、妹が大きくなって、妹にも聞かせるようになったら、また面白いかもしれない。空想の中のことなのに、その内容で喧嘩が始まったり。
そんな場面が眼に浮かぶようです。

ラストは、そんな夢を実現すべく実際に木を植えて水やりをしている場面で終わります。お話としての体裁からはあった方がいいけれど、なくても構わない。なんといっても、圧巻は、こんなきがほしいという空想の中身に魅力があるので。

この絵本を読むと、空想の持つ豊かさとその力に感動させられてしまいます。自分の夢を描けるってこんなにも素晴らしい。

「ふしぎなきいろいながぐつ」もそうだけれど、佐藤さとるさんという作家は、日常生活のちょっとした不思議をすくいあげて作品に仕立てるのが、とても上手な人なんだと思います。


そして、この本は、読んだだけでは終わらない楽しみがあるのです。

読み聞かせをした後、自分だったらこんなきがほしい、と絵にする楽しみがあるのです。ひとりで描くのもいいし、誰かと一緒に描くのもいい。それこそ、強制されないでも喜んで自分だけの木を描いてくれることと思います。

私自身は、絵を描きこそしませんでしたが、絵本の木の絵を全部カラーコピーして、縦に繋ぎ合わせてみました。繋げると壮観でなかなか楽しめました。



いつか、自分の子供のために、将来木登りができるような大きな木を植えてあげて、この本を読み聞かせてあげるのが今から楽しみです。
でも、その楽しさが分かるのもまだまだ先のことだなぁ。

取り敢えず、ミカンの木が枯れないうちに実家に植え替えるのが先決でしょうか。
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自信を持っておすすめしたい ぼくのおじさん  投稿日:2010/08/24
ぼくのおじさん
ぼくのおじさん 作: アーノルド・ローベル
訳: 三木 卓

出版社: 文化出版局
家族以外の誰かの存在って貴重だ。

「おじさん」って、その誰かに成り得るし、割とお話にしやすいようだ。
そのものずばり、「ぼくのおじさん」という題のお話がいくつかある。
ひとつは、ジャック・タチ監督の「ぼくの伯父さん」。
もうひとつは、北杜夫の「ぼくのおじさん」。
どちらのおじさんも、駄目人間として大人社会からは冷遇され、でも子供からは慕われる人間として描かれる。

・・・この2つの話から、おじさんって、駄目人間ばかりなのかと思ってしまうが、いやいやそんなことはない。

アーノルド・ローベルは「がまくんとかえるくんシリーズ」で有名だが、寧ろわたしは彼の「ぼくのおじさん」という作品が1番好きだ。

主人公のぼくは、ある日船の事故で両親をなくしてしまう。失意の彼の前に現れたのが、おじさんというわけ。おじさんは、きのはっぱよりも、はまべのすなつぶよりも、そらのほしよりもしわが多いおじいさんでもある。そして、孤独という点では、ぼくと同じ立場だ。
これは、そんな二人が心を通わせていく過程の静かな日々を描いたお話なのだ。

ぼくの緊張をときほぐしてやるために、電車の窓から見える電柱を数える話や、ランプに住み着いているくもの願いを叶えるために真っ暗な中で食事をする話、二人の関係を象徴するようなおじさんの作ったお話、おじさん流の気分が沈んだ時の対処の仕方の話・・・などなど。一つ一つのエピソードが、しみじみと心に残る。

最後の結末は、ぼくにとっては幸せであるはずだけれど、どこか物悲しくもあるのは、おじさんにとってぼくと一緒に過ごした日々は幸せであったという別れの辛さを表す。

年齢を超えた心の交流というとフィリパ・ピアスの「トムは真夜中の庭で」を思いだす。しかし、あちらは、過去の小さかったおばあさんとの交流であるということが違う。
絵本という限られたページ数で、ファンタジーという手法を使わずにおじいさんと子どもの心の交流を真正面から描いたという点で、とても心に残る1冊。
悲しい話ではないにも関わらず、読むたびになぜか涙が出てくる不思議な1冊。

誰か、映画化してくれないかな、と密かに思っていたりもする。

息子に読んであげられるようになるのは、まだまだ先の話だなぁ。
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