「あかりちゃーん、ただいま」。大好きな人との再会を描いた涙の感動作
この絵本の主人公は黒白猫のちびた。毎日ゴロゴロ、おだやかな日々を送っています。そんなある日のこと、仲間の猫が「きょうは、年に一度のおうちに帰る日だよ」と、言い出しました。わけがわからず渡された三角の布を頭につけると、ちびたは思い出します。自分はあかりちゃんのうちの猫で、彼女たちとかけがえのない時間をすごし、年老いたある日、死を迎えたことを──。
大切なものとの別れは、だれにとってもつらく悲しいものですが、本書のなかではその先に訪れる穏やかで静かな時間を描いています。現在、学校現場でも重要視されている「デス・エデュケーション(死をとおしてよりよく生きることを考える教育)」にも最適な一冊です。
生きているものは必ず命を失います。それでも今まで注いできた愛情をいなくなってからでも注ぎ続けたいと、世話をしてきた人は誰もが強くそう考えると思います。
それを猫の側から表しているのが新鮮な感じがしました。「猫もさびしさを感じたり、この日が待ち遠しいと思ったりして、一緒にいてくれた人たちへの思いが心の中に残り続けるのかな。そうであってほしいな」と、この本を読みながら思いました。 (よし99さん 50代・じいじ・ばあば 女の子0歳)
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