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そらがおばあちゃんと一緒にやってきたのは神楽坂。おばあちゃんが「さがしたいものがある」と言うのです。子どもの頃仲良しだったともだちのちえちゃんと、赤城神社の大いちょうの木の下に埋めた二人のおはじきを探しに来たのです。 その頃戦争がはげしくなって、疎開をすることになったおばあちゃんとそのまま残るちえちゃんは離ればなれになってしまいました。あれから何十年、焼け野原になった神楽坂におばあちゃんは戻ってくることができなかったのです。 そらは、おばあちゃんの手を取ると大いちょうの木があったであろう場所まで行って、一緒に地面を掘り始めました。 すると・・・「あった!」 熱で溶けてくっついてしまったおはじき。それを手に取った瞬間、あたりの景色が変わって、おばあちゃんが小さい頃のともちゃんになっていた!! そこでそらの見た出来事とは・・・!?
どんなに仲良しなお友だちであっても、引き裂かれてしまう。 どんなに大好きな家であっても、焼き尽くされてしまう。 それが戦争なのです。 作者の山口節子さんは、神楽坂で生まれ育ち、戦火によって家と友人を失ったそうです。 山口さんは語ります。忘れてはならないことを、しっかりと語り継いでいくことこそ、あの戦火を逃れて生きた者の役目だと。
ファンタジーの様な場面と空襲の場面。迫力のある大畑いくのさんの絵は、美しい友情と恐ろしい戦争をそれぞれ同時に伝えてくれます。
戦争の経験がない私達が親の世代となった今、子どもたちに何を伝えていくことができるのでしょう。 絵本を一緒に読みながら考えていきたいと思うのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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戦火にのまれ、多くの人が亡くなった神楽坂。 仲良しの女の子二人は、再会を誓って、銀杏の木の下におはじきを埋めます。 数十年後、おはじきを探しにきた、ともちゃんが見たものとは…? 戦争が引き裂いた美しい友情のお話です。作者の山口節子さんは、神楽坂で 生まれ育ち、戦火によって家と友人を失いました。 このお話は、山口さんの思い出の神楽坂に捧げる鎮魂歌です。

大空襲に見舞われた町。
その町の子どもたちと遊びは切り離せません。
これまでにお手玉やおひな様や子どもたちの遊びと結びついた戦争絵本を見てきました。
それぞれに悲しいし、現代の子どもがそれを回顧するスタイルは同じです。
それだけに戦争の悲惨は、自分たち子どもとも無縁ではなかったことを伝えることが重要なのでしょう。
この絵本の舞台は東京の神楽坂。
都心でもあの昔ながらのたたずまいを残す神楽坂も、大空襲に見舞われたのだと言うことを改めて知りました。
おばあちゃんと一緒に遊んだちえちゃんは、大空襲で死んでしまいました。
一緒に遊んだおはじきを掘り出したら、高熱で溶けて一つのかたまりになっていました。
お祭りの思い出と大空襲が幻影のように繰り広げられます。
絵巻のような思いで戦争の悲惨さを再体験しました。 (ヒラP21さん 50代・パパ )
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