![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
幻想的で優美な世界を描く、樋上公美子さんの初めての自作絵本。
美しい鹿革のスカートをいつもはき、バンビと呼ばれるむすめがいました。 スカートは、昔、バンビのおじいさんからおばあさんへ贈られたもの。 はじめてそのスカートをはいたとき、バンビはあまりに自分にぴったりであることにおどろきます。 スカートはバンビをやさしくつつみこみます。 どこからがスカートで、どこまでが自分なのかわからないくらい……。 そしてスカートをはくたびに遠くから声がきこえてくるような気がします。 誰かが自分を呼ぶような声。 いったい誰……?
ある朝バンビのスカートにまいおりた一羽の白い小鳥に誘われるように、バンビは外へ出かけます。 春の花園へ、夏の星の下へ、秋の森へ。 そして冬。湖で小鳥がいなくなったことにも気づかず夢中ですべるバンビのもとへ、りっぱな角をもった牡鹿がやってきて……。
美しい鹿革のスカートのなめらかさ、やわらかさが絵本のなかにとじこめられています。 黒いひとみがキラキラとかがやく可憐な小鳥が、バンビとよばれるむすめをどこかへつれていってしまいそうな、ぞくぞくする世界が描かれます。 神秘的で、目がはなせません。
前後の見返しにほのかに描かれた牝鹿の美しさが、胸を打ちます。 よくなめされた皮の裏地のピンクがはっとするほど美しく、心に残ります。 はかない美しさがにおいたつ絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
鹿皮のスカートをはいた美しい娘、バンビのもとに、美しい白い小鳥がやってきます。小鳥はバンビを誘うように、春の花園、美しい夜空の下、秋の森に誘い出します。そして、ある日、小鳥がバンビを連れていった冬の湖に、一頭の牡鹿がやってきます――。バンビと小鳥がいる幻想的な風景が次々に鮮やかに立ちあがり、グリム童話のような寓話的な物語が展開し、読む人の心をとらえます。鮮やかなイメージがくっきりと残る美しい絵本。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
幻想的なお話です。
鹿革のスカートというキーになる設定が気になってしかたありません。
猟師に撃たれた牝鹿の皮で作られたスカートを、おばあさんに送ったのはおじいさんでした。
撃ったのはおじいさんでしょうか。
バンビとよばれたおばあさんは、男鹿のゆるしを得て、おばあさんと一緒になったのでしょうか。
もどかしいほど曖昧な、イメージの中でお話は完結します。
孫娘の立場で考えると、今ここにいる自分とバンビのつながりを受け容れるしかないようです。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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