レバノン生まれのフランス語圏作家による、再話集。登場人物のナスレディンはアラブ・イスラム圏でよく知られ、賢者であり愚者、時にけち、ほらふき、皮肉屋と、さまざまな面がある人物。63篇のとんち話や笑い話が楽しめる。
収録作品 ナスレディンの息子/医者のナスレディン/ナスレディンのマント/なべ/知恵のあるネズミ/人生/明かり/おどし/留守番/ロバが十頭 /ジェラバが落ちた/ジェラバ泥棒/ロバの言葉/洗濯縄/肉と猫/釘/釘の値段/ロバに化けた/強い者の側/クスクスが降った夜/鼻と腹/牛乳のコップ/大きなコップ/虎/オムレツ/トマトと肉/何も/分配/音はどこから?/肉のにおい/知恵/レシピ/月と太陽/老いてなお/溺れる人/窓に頭/厚紙の靴/死/ロバと食べ物/三つの教え/この世の終わり/演説/毛布/遅起きは三文の徳/赤んぼう半分/この父にしてこの子あり/ナツメヤシ/考える七面鳥/いかに暗がりの中でロバを見つけるか/わたしは別人/扇/ネズミと秘密/お金持ちと断食/太りすぎの男/死人がふたり/雨とジェラバ/スープのスープ/引っ越し/知らせがよいのやら悪いのやら/針の穴/ご用心!/バクシーシ/賭け
編集者コメント ごくごく短い話のなかに、人生の知恵やおかしみがつまっています。主人公像に一貫性がないのは、ひとりの実在の人物に由来するためではなく、アラブ・イスラム圏の各地域に伝わるさまざまな笑い話やとんち話が習合したからだと考えられます。おもしろいのは、デジャヴを感じること。古典落語や狂言によく似た話があります。もしかしたら元はひとつだったかもしれないと考えるのも愉快です。著者は語り部としても活躍しています。
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