
体がかたくなったライオンさんに、腕力が弱くなったカンガルーさん、食べすぎちゃったくまさん……。そんな動物たちの悩みをトレーニングセンターのジュンくんが次々解決!思わず一緒に体を動かしたくなる、楽しいお話。

『からすのパンやさん』など今でも人気の絵本作家かこさとしさんが亡くなったのが2018年。
最近その遺稿が見つかったことが話題になったいるが、
遺作と呼ばれたのが2018年刊行の『水とはなんじゃ』で、
その際に絵を託されたのが鈴木まもるさん。
鈴木まもるさんといえば、「のりものえほん」シリーズや
星野道夫さん原案の『あるヘラジカの物語』などで高い評価を得た絵本作家。
そんな鈴木さんの絵のタッチは実に多彩だが、
その根底にある線はとてもやさしい。
この『いつでもトレーニング』を読んで、
絵のタッチがかこさとしのものによく似ていることを改めて実感した。
絵本だから大きな絵を描けばいいとつい思いがちだが、
かこさんもそうだし、鈴木さんも決して大きな大胆な線を描くことはない。
どちらかといえば、子供が小さな紙を細かく描く、そんな感じなのだ。
この絵本でも、男の子のトレーニングセンターに次から次へとやってくる動物たちと
そのトレーニングの様子は、
きっと大きな絵で描くこともできたはずだが、
鈴木さんはそんな絵を描かない。
それはきっとかこさんもそうだったにちがいない。
かこさんの絵本が今でも人気があるのは、
かこさんの描く絵が子供たちの世界に近いからだと思う。
そして、この絵本を見て、
鈴木まもるさんの絵はまさにかこさとしさんの世界を継承するものではないだろうか。
そう思えたら、とてもうれしくなった。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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