![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
不滅のロングセラー『ぐりとぐら』が点字つき絵本になりました。 点字つき絵本は、見えない方のための・・・と思われがちですが、それだけではないのです。 めくってびっくり、触図(樹脂インクで盛り上げて印刷されています)で描き分けられたぐりとぐらの服や、長くてほそーいしっぽや、つるつるの大きなたまご、ざらざらのフライパンをさわる楽しさ! さわる楽しさってこういうことだったのか!と目からウロコが落ちます。
表紙も本文用紙もしっかりした厚紙でつくられ、ページをめくるときの不安がありません。 弱視の方にも見えやすいように、文字はくっきりとひとまわり大きく印刷されています。 触図は、さわったときにわかりやすい形や手触りになるよう、絵柄を少し変え、位置も移動されています。 ぐりの青い服は、縦じまのストライプ模様に。 ぐらの赤い服は、こまかい水玉(ドット)模様に。 これが「てんやく」ということなのですね。 文章が点字に訳されているだけでなく、絵が翻訳されていることも、新しい「ぐりとぐら」の魅力をうみだしています。
「見える人、見えない人、見えにくい人が、みーんな一緒に楽しめる!」これがいちばんの見どころポイント。 親子で、友達同士で、目が見える見えないというハードルをこえ、同じ本を一緒にあじわい、おしゃべりできる・・・なんて幸せなんでしょう。 ぐらがおなべのふたをとったときの、ふんわりしたカステラを、ぜひみんなでさわってみてくださいね。 『てんじつき さわるえほん ぐりとぐら』は、これからますます多くの子どもたちの宝物になるに違いありません。
『しろくまちゃんのほっとけーき』や『ノンタンじどうしゃぶっぶー』など、出版社をこえて広がる「てんじつきさわるえほん」の試み。ぜひ応援して、ほかのシリーズも見くらべてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
![てんじつきさわるえほん ぐりとぐら](/images/4834080382_20131114155621_op1.jpg)
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![てんじつきさわるえほん ぐりとぐら](/images/4834080382_20131114160205_op1.jpg)
![てんじつきさわるえほん ぐりとぐら](/images/4834080382_20131114160205_op2.jpg)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
●『てんじつきさわるえほんぐりとぐら』の4つの特徴
@通常の絵本の絵や文字の印刷のうえに、触って楽しむことができる絵(触図)と文字(点字) を透明樹脂インクで盛り上げて印刷し、見える人も見えない人も一緒に楽しむこができます。
A樹脂インクでの盛り上げ部分は、実際に視覚障害の方に触っていただき、元の絵本の絵柄とは配置や向きなどを変更することで、よりわかりやすい表現を目指しました。
B見えづらい方への配慮から、通常の印刷の文字も、元の絵本よりも大きなフォントで印刷。
C製本に工夫をこらし、点字絵本では難しかった通常の書籍に近いかたちでの装丁を実現。
●指で楽しむ絵本の世界
点字が付いている絵本といえば、「あぁ見えない人用の絵本ね」と思われがちですが、決してそうではありません。見える人が見て楽しんでいる絵本を、見えない人もさわって楽しめるようにした絵本なのです。この「さわる」という感覚は、見えない人だけに与えられた特別な感覚ではありません。見える子どもたちにとっても、絵本に登場する主人公やいろんな物をさわることができたなら、その形、その手触り感からもっともっと想像の世界が広がることでしょう。 見えない私が30数年前、我が子と一緒に楽しめる絵本はほとんどありませんでした。この度、誰もが知っている『ぐりとぐら』がさわって楽しめる絵本として、出版されたことは、夢のようです。初めてさわったぐりとぐらは、長く伸びた細い尻尾が印象的で、どのページからもその声さえ聞こえてきそうな気がします。そばで見ていた文庫のスタッフが、「なんだか全く違うぐりとぐらを見ているようでわくわくするわ」と言いました。そのわくわく感を一人でも多くの方に味わっていただきたいと願っています。
岩田美津子(いわたみつこ) 北九州市に生まれる。見えなくても我が子に絵本を読んでやりたい思いから絵本の点訳を始め、1984年「点訳絵本の会 岩田文庫」を大阪府の自宅に開設。1991年「てんやく絵本ふれあい文庫」と改称(2012年NPO法人に改組)。ボランティアと共に文庫を運営し現在に至る。2002年には点字付き絵本の出版の拡大を図ることを目的に「点字つき絵本の出版と普及を考える会」を発足。点字絵本の普及につとめている。著書に『点訳絵本のつくり方 増補新版』『見えないお母さん絵本を読む』(せせらぎ出版)、『岩田美津子の絵本探検 』(JULA出版局)などがある
●「ああっ ぐりの しっぽ!!」
目が見えない・見えにくい子どもたちと一緒に点字つきの絵本を読む際、お子さんと同じ向きで、手を包み込むように、一緒に触って読みます。お子さんは、経験を重ねていくうちに、少しずつ指から様々なことを読み取るようになります。 盲学校の放課後の出来事です。全く視力のない小学1年生のAさんと、『てんじつきさわるえほん ぐりとぐら』を読んでいました。Aさんは「ああっ ぐりの しっぽ!! 先が細くなって ネズミのしっぽらしい。」と言いました。Aさんの笑顔の輝きを、体に伝わってくる喜びを、子どもと分かち合えるのは大きな喜びです。 日本では、多くの絵本が出版されています。けれど、見えない子どもたちが楽しめる絵本はごくわずかです。町の本屋さんで買える。点字付き絵本の出版をどれほど待ち焦がれていたことでしょう。 絵本で子どもたちは生きる力を育みます。良いことも、悪いことも含めて 物語と現実が交差して世界が広がります。 すべての子どもたちに絵本の楽しみを、すべての父母に、絵本を通して子育ての喜びを……これが私の永年の願いです。これからも、もっと多くの人気絵本がすべての子どもたちが楽しめる点字付きで出版されたらと、期待しています。
横浜市立盲特別支援学校 図書館ボランティア 石井みどり
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
子どもが図書館で見つけたので借りてみました。いつも知っている本ですが、絵も立体になっていて、座っている鹿の絵は立っているようになっていたり、より分かりやすく、感じやすくされているのだなと感じました。子どもも絵を見るだけでなく手で触ることで、詳しく見ているようでした。コストの面でも大変苦労されたというお話を聞きましたが、良い本がたくさんありますから、ひとつでも多くの本をこのような形にでき、みなが楽しめる本になるといいなと思いました。 (もぐもぐもぐもぐさん 30代・ママ 男の子4歳、男の子1歳)
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