
詩人・くどうなおこさんが、のはらを歩きながら耳を傾けたのは、動物たちや虫たち、風の声。それを詩として紡ぎ出したのが『のはらうた』です。たとえば、かまきりりゅうじ、かぜみつる、ふくろうげんぞう――彼らの生活や心の声が、優しく、時に力強く詩に込められています。 今回、その『のはらうた』が、あべ弘士さんの美しい絵とともに新たに生まれ変わりました。『のはらうた絵本』では、あべさんが描く繊細でありながらダイナミックなイラストが、くどうさんの詩の世界にぴったりと寄り添い、のはらの住民たちがまるで本の中で生きているかのように感じられます。風がそよぎ、虫たちが密かに囁き、動物たちが生きる喜びを語る――自然の豊かさと生命の力強さが、ページをめくるたびに溢れ出します。 『のはらうた』40周年を記念して出版される『のはらうた絵本』は、全25篇の詩とともに、子どもから大人までがのはらの声に耳を傾け、自然の美しさや楽しさを存分に味わえる一冊です。自然との対話を楽しむ特別な時間が、あなたを待っています。

詩人工藤直子さんの代表作ともいえる『のはらうた』が刊行されて40年だという。
シリーズ累計の刊行数が100万部というから、
こういう作品をロングセラーというのだろう。
おそらく詩集としても稀有なことにちがいない。
だから、子供の頃に読んだ人も今やその子供、もしかしたら孫への贈り物になっているやもしれない。
どんな詩か。
工藤さんがこの世界のあらゆるものの気持ちになって、詩をうたっていく。
例えば、かまきりの詩「おれはかまきり」では、「かまきりりゅうじ」君がこんな詩をうたう。
「おう なつだぜ/おれは げんきだぜ/(中略)/かまを ふりかざす すがた/わくわくするほど/きまってるぜ」
きっとどこかで誰もが目にした生き物や風景を、
巧みにうたってみせたのが、工藤さんの『のはらうた』。
そして、その中から25篇の詩を選び出して、絵をつけたのが、
この『のはらうた絵本』。
絵(ここでは画となっています)を描いたのは、あべ弘士さん。
あべさんといえば、動物や自然の絵の全うさに定評がある絵本作家。
工藤さんの詩に絵をつけるとしたら、この人しかいないのではないでしょうか。
とっても贅沢な絵本。
「のはらうた」40周年の記念の一冊です。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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