日本語版刊行30周年♪想いのつよさをくらべっこ♥
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絵本紹介
2023.10.07
一歩、また一歩、わたしたちは何万年も旅してきた……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『旅するわたしたち On the Move』。ウクライナの作家による、万物の移動を描いたというこの絵本。いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
「人の行くところに 道はできる」
昔からの言いつたえの通り、人は探検、戦争、避難、巡礼、観光……いろんな理由で旅に出る。
蛍光インクによる目にも鮮やかな印刷が特徴のこの絵本。万物の行動原理である「動く」ことをテーマに、「移動」や「旅」「冒険」を、歴史や文化、人類の進化をたどりながら、壮大なスケールの物語を美しいビジュアルで見せてくれます。
作者はウクライナの絵本作家・アーティストである ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ。新型コロナウィルス感染症が世界中にまん延し、人々の行動が制限された2020年にウクライナで刊行されました。2021年には国際的な絵本賞であるナミコンクールをはじめ、ヨーロッパ・デザイン賞など計5つの賞を受賞し、今回の日本語版のほかにも、世界14言語での翻訳出版が決まっています。
描かれているのは新しい世界への探求心、出会いへの憧れ、今いる場所からの自由。どこに向かっていても、立ちどまっていても、これは一人ひとりが生みだしていく、自分だけの物語でもあるのです。私たちは旅を続けます。いつか懐かしい風景が見えるまで……。
旅の途中なのかもしれない
数年前までは、自分たちの行動や移動を制限されるなんて、想像すらしていなかったはず。けれど、その不自由さに触れて、はじめて自分たちは常に移動している生き物なのだということに気が付かされるのです。自分は何かに動かされているのか、あるいは自分で動こうとしているのか。もしかしたら、この当たり前の毎日だって、どこかに向かっている旅の途中なのかもしれないし、明日になれば、突然向かう方向が変わることだって、あるかもしれない。図鑑のように解説されるこの美しい絵本を読みながら、今いる自分の場所のことを思うのです。
この書籍を作った人
絵本作家、アーティスト。共に1984年生まれ。ウクライナのリヴィウを拠点に活動する。リヴィウ国立美術大学を卒業。アートスタジオAgrafka主宰。2011年、ブラチスラバ世界絵本原画展(BIB)で出版社賞を受賞。本作は2015年に刊行され、ボローニャ・ラガッツィ賞を受賞し、世界15言語に翻訳出版されている。2017年BIB世界絵本原画展金牌を受賞した『目で見てかんじて 世界がみえてくる絵本』、2018年ボローニャ・ラガッツィ賞受賞の『うるさく、しずかに、ひそひそと 音がきこえてくる絵本』(共に、広松由希子訳 河出書房新社)など、世界が注目する新進気鋭のユニット。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。