ディズニープリンセス じぶんもまわりもしあわせにする おやくそくブック(Gakken)
SNSで話題!すてきな大人になるために大切にしたい「おやくそく」を紹介する絵本。
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インタビュー
2024.12.24
絵本ナビと講談社の共同開催で新設された『読者と選ぶ あたらしい絵本大賞』。その第1回の作品募集が2024年11月1日(金)よりスタートしました。『読者と選ぶ あたらしい絵本大賞』は、いま本当に「読みたい」「読んであげたい」絵本を、あなたの手で創り、あなたの目で選ぶ。スマホやタブレット、PCからだれもが気軽に参加できる、新しいスタイルのデジタル絵本コンテスト。現在、コンテストにより多くの方に応募していただけるように、デジタルお絵描きアプリ「CLIP STUDIO PAINT EX」の協力を得て、無料で提供しています。
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そこで、この連載「絵本ナビ編集長イソザキの『あたらしい絵本大賞ってなに?』」では、新しいテーマとして「CLIP STUDIO PAINT」を実際に使われている作家さんお二方に登場していただき、さまざまなお話を伺っていきます。3回目には使用している様子のご紹介も。絵本作家を目指されている方にとって、きっと具体的なアドバイスがたくさん含まれている内容になっているかと思います。お楽しみください。
「CLIP STUDIO PAINT」ユーザーインタビューは全3回。2回目に登場いただくのは、絵本作家のまつながもえさんです。絵本作家になるまでのことや、現在の創作活動についての貴重なお話を伺いました。
まつながもえ
1992年、埼玉県生まれ。学習院大学文学部卒業。絵本塾カレッジ主催第3回創作絵本コンクールにて大賞を受賞し、受賞作『はにわくん』(絵本塾出版)でデビュー。絵本に、『からっぽのにくまん』(白泉社)、『てんぷら ぱちぱち』(講談社)、『かっぱまきください!!』(小学館)がある。
――まつながさんは、いつごろからどんなふうに「CLIP STUDIO PAINT」を使い始めましたか?
私は、デジタルのほうが表情などを勢いよく描けるので、アイデアスケッチの時点から「CLIP STUDIO PAINT」を使っています。もう5年くらい使っていますが、その前にアナログで描いていたときは、まったく違う絵柄でした。
――デジタルで制作を始めたきっかけは、なんでしたか?
もともと、絵の具などを使ってアナログで絵を描くことがものすごく苦手だったのですが、自分でおはなしをつくって絵を描きたいという思いがあって。絵本講座に通っている人の中にデジタルツールを使って作画をしている人がいたので、「自分もデジタルなら自由に描けそうだ」と感じて、使い始めました。
――デジタルのほうが良いと感じる点はありますか?
アナログで描くと、最後の仕上げのときに「失敗できない」と思い、手が震えてしまうんです。でもデジタルは「やり直せるからだいじょうぶ」という安心感があるからか、「思い切った表情を描こう」という気持ちになるので、私には向いているなと思います。
――絵本を描こうと思った理由はなんですか?
小さい頃からお話をつくるのがすごく好きで、小学生時代は、毎日大量のお話を書いていたんです。ところが中学から陸上競技を始めて、高校生、大学生とスポーツ三昧の日々を送っていたので、おはなしづくりから遠ざかっていました。
その後、就職して社会人になってしばらくしてから、やっぱり絵本をつくりたいという思いが強くなって。独学は無理だと思ったので、絵本講座に通うことにしました。それが、きむらゆういち先生の「ゆうゆう絵本講座」だったんです。
――講座ではどんなことをしましたか?
講座では月に一度、できあがった新作を発表するという決まりがありました。私はとにかく数をつくるべきだという思いがあったので、毎月1作品(32ページ)を作って発表することを目標にしました。
きちんと完成させることができなくても受け入れてもらえたので、文字を入れてラフの状態のもので発表することもありました。発表した作品について、先生と生徒が順番に感想を言っていくのですが、そのときに笑ってもらえるのが、いちばんのモチベーションになりましたね。食べ物が主役の作品を描くときは、「もし自分がこの食べ物だったら、どんなことを考えるだろうか……」などと考えながら描いていました。
――作品の感想で、ネガティブな意見が出たときには、どんなふうに対処しましたか?
自分では気づけない悪い部分を指摘されるので、「だったらそこを良くすればいいんだ」とポジティブに捉えて、作品をより良くする手がかりにしました。今でもそうですが、迷ったときには周りの人の意見がすごく役に立ちます。ですから、言われたことは「そうなんだ」と素直に受け入れています。
――ほかの人の意見を聞いて、取り入れるという前向きな姿勢がすてきです。講座に通うと決めたときから、絵本作家としてデビューするのが目標でしたか?
最初は、ただ絵本をづくりたいという思いでした。でも講座で有名な絵本作家さんのお話を聞いたり、プロの作家さんや編集者の方たちと関わったりしているうちに、「絵本作家になりたい」と思うようになりました。同じ講座を受けていた方が、実際に絵本作家としてデビューしていく姿に、刺激を受けたのかもしれません。
私は、デビューするには「コンペに応募するしかない」と考えていました。応募するには作品を完成させなくてはいけないので、そこまで仕上げるのが大変で。しかもコンペに落ちると、その応募作品はほかのコンペに出すことができなる場合がほとんどでした。
だから、どのコンペにどの作品を出すのかとても悩みましたし、苦労して仕上げた作品がお蔵入りになるかもという不安は、いつも感じていました。でも、「むだになるものはないよ」と「ゆうゆう絵本講座」の人にも言ってもらえたので、すごく心強かったです。作品への意見もそうですが、私の場合は本当に周りの人の言葉に助けてもらったなと思います。
――コンペに応募し始めてから、すぐに受賞することができましたか?
いいえ、応募し始めた頃はまったく賞に引っかからなくて、7回くらい応募しています。とある教室に入会するために作品を送ったら、「こんなものを描ける人間はいくらでもいる」という返信が来たこともあります。
コンペも、審査が数段階ありますよね。一次、二次と残り続けて「これはいけるかも!」と思っていたけれど、最終審査の結果に名前がなかった日はけっこう落ちこんで……。でも、「ゆうゆう絵本講座」で毎月1作品作っていたおかげでネタのストックがあったので、「今回これはダメだったから、次はあっちのネタのほうがいいかも」とすぐに気持ちを切り替えることができたんです。
――毎月がんばって積み上げてきたことが、コンペに挑む心の支えにもなっていたんですね。
そうなんです。しかも「ゆうゆう絵本講座」で発表したときに「おもしろい」と太鼓判を押された作品があるというのが、私の強みでした。コンペに応募する作品は、ほかの人に「おもしろい」と評価してもらえたものだけにしていたんです。だから本当に人の意見を聞くのは大切だなと思います。
――最初にコンペで賞をもらった作品はなんですか?
2020年に「第3回絵本塾カレッジ創作絵本コンクール」で大賞をいただいた、『はにわくん』です。
出版社からの内容紹介
転校してきたはにわくんは、困ると石みたいに固まるし、ずっと手をあげているから授業で誰も発表ができない。
プールの時間も音楽の時間も、転校生のはにわくんに、ぼくの学校のみんなは驚かされることばかり…。
1作目はビギナーズラックみたいな感じで作品をつくりあげることができましたが、2作目からが大変でした。「ゆうゆう絵本講座」に通いながら作品をつくり続けて、2021年に「第22回ピンポイント絵本コンペ」、同じ年に「第10回MOE創作絵本グランプリ」に応募しました。
出版社からの内容紹介
今日はかっぱのさらたろうの誕生日!
人間にばれないように帽子とマントをして、回転寿司にやってきたかっぱぱとさらたろう。たくさんのかっぱ巻きに、うーん、おーいしーい!おなかいっぱい大満足だったけど…、さてさて結末はどうなったのかな?
――応募するコンペと、作品選びで気をつけたことはありますか?
過去の受賞作や審査員メンバーなどの情報を参考に、そのコンペの特色を研究していました。特に「MOE創作絵本グランプリ」のように、すごく人気があって応募数が多いコンペでは、受賞する可能性が低くなります。
応募前に『からっぽのにくまん』を読んでくれた知り合いは、「入賞できなくてお蔵入りになるにはもったいないおもしろいネタだけど、応募してもだいじょうぶ?」と心配してくれました。でも私は「絶対グランプリを取るんだ」と決意を伝え、応募しました。そうしたら本当にグランプリを受賞したので、言葉にすると願いが叶うんだと思いましたね。
出版社からの内容紹介
中身を詰め忘れられて、からっぽのままになってしまったにくまん。
中身を求めてピザ屋さん、和菓子屋さん、カレー屋さん…あちこちの店をめぐります。
おなかが減りすぎてしぼんでしまったにくまんが駆け込んだ先は…?
小さなにくまんの大きな冒険。
――「ゆうゆう絵本講座」の発表会で「おもしろい」という意見があった作品は、自分の自信作でしたか?
そうですね……自分では全部の作品を「おもしろい!」と思ってつくっているので、その中で、ほかの人が読んでも「おもしろい」と言ってもらえる作品ならだいじょうぶだと、ポジティブに受け取っていました。たぶん私は、すごくポジティブなタイプだと思います(笑)。
――社会人になってから絵本作家を目指し、現在も兼業で活動なさっていますが、創作の時間はどのようにつくりましたか?
いちばん集中できるのが朝なので、早朝に職場の近くのカフェに行って、始業時間までの1〜2時間を創作活動にあてていました。締め切りに追われているときは、昼休みにササッと昼食を済ませて、残りの30分間、iPad Pro 12.9インチを膝の上に置いて描いていたこともあります。
iPadは持ち歩けるので、ラフスケッチや色塗りなどの作業なら、電車で移動するときの隙間時間でもできるのがとても便利。デジタル制作は、別の職業で生計を立てながら、絵本作家として活動する私に合っているやり方だと思います。
出版社からの内容紹介
こけしぞろぞろ…… どこへ?
いったいなにがおこっているのか!?
あなたは、こけしのひみつをまだ、しらない……
とある「ふろの日」日本全国のこけしたちが、ぞろぞろぞろぞろ動き出す
なぜ? どこへ? いったいなにを!?
めくってもめくってもこけしこけしこけし!
細かに描きわけられた、何百体ものこけしたちが、あなたを驚きの世界へとお連れします。
隅々まで遊び心たっぷりのページでは、難易度高すぎ!? 細かすぎるこけしさがしも楽しめます。
さらに細かすぎるキャラクター設定を深堀りして、自分だけの推しこけしを見つけて応援しよう!
よんでわらっていっしょに「ぷっはぁ〜!」
シュール&かわいいを極めつづける、まつながもえの真骨頂!
まつながもえのにっぽんだいすき絵本シリーズ 『てんぷらぱちぱち』につづく第2弾!
次回は、「CLIP STUDIO PAINT」を実際に使っている様子もご紹介! まつながもえさんと ながしまひろみさん、ふたりの絵本作家さんの対談形式でお話を伺います。
文・構成: ナカムラミナコ
【Vol.1】いよいよ募集スタート! 編集長イソザキによるコンテストガイド
【Vol.2】特別審査員横山だいすけさんインタビュー(前編)「絵本は人生に必要なもの」
【Vol.3】特別審査員 辻晶さんインタビュー(前編)「絵本は言語習得にぴったりのメディア」
【Vol.4】特別審査員 つむぱぱさんインタビュー(前編) 絵本は子どもの“原体験”
【Vol.5】特別審査員 絵本ナビ編集長・磯崎園子インタビュー(前編)仕事は“絵本の魅力を伝えること”
【Vol.6】絵本ってどう描くの? 絵本作家さんに聞く、絵本作りのポイント@ ながしまひろみさん ーーCLIP STUDIO PAINT ユーザーインタビュー