むかし、きみには トゲなんて なかったんだよ 「かわいいね」って みんなに なでてもらえていたんだ でも・・・
きれいな緑色、丸みを帯びた姿。 それがこの絵本の主人公のサボテンです。
誰から見ても可愛らしく、やさしい心を持ったサボテン。 ところが、いつしか彼女のからだにはトゲがたくさんささり、いつのまにか彼女自身がトゲだらけになっていたのです。心ないコトバに傷つけられ、いじわるをされたとしても、なげかえすのをぐっとがまんしてきたサボテン。本当は痛いはずなのに、泣くことさえも忘れてしまったのでしょうか。自分だけで生きていく術を身につけていったのです。
ふりかかってくる思いもよらぬ出来事に、どう向かい合って、どう生きていくのか。 一人で健気に生きていく彼女の姿に、誰かを重ね合わせて読む人もいるかもしれません。 少し心が痛む人もいるかもしれません。 でもね。 彼女をずっと見守っている「ぼく」は言うのです。
きみは気づいていないみたいだけど、きみに咲く花は、すごくすごくきれいなんだ。 みんながやさしい気持ちになっているんだ。
サボテンの透き通るような心に、幅広い読者層の共感を呼んでいるこの絵本は、第6回Be絵本大賞の大賞受賞作品です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
第6回Be絵本大賞 大賞受賞作品 生きていく上でだれもが味わうであろう感情を、繊細なタッチで描いた 可愛いサボテンにふりかかった物語におきかえやさしく語りかけてくる、 人々の共感を呼ぶ作品。
この絵本を手にしたのは、ちょうど身内に不幸があった時でした。
亡くなった人はもちろん、残された人の事も心配で胸が痛くて哀しい時でした。
自分には何もできない。旅立ってゆく人を留めることも、残された人の心の傷を癒やすことも。
でも、わたしはこの絵本の「ぼく」になれるかもしれない。
求められる時に求められる物をじょうずに与える事はできなくても、そばにいて見守る事はできる。
がんばればその人が花咲く手伝いもできるかもしれない。
辛い時にそっと寄り添ってくれた絵本でした。
太陽の光ではなく、月の光のような、控えめだけど優しいやさしい絵本でした。
6歳の姪に読んであげたら
「なぜトゲが刺さったんだろうね?」
「でもきっと神様がみててくれるよね」と
幼い心にも響くものがあったようです。
7歳の友人の息子ちゃんにプレゼントしたら内容はよく分からない様子でしたが、「サボテン、かわいい」と絵に釘付けでした。
子供さんも喜ぶでしょうが、お母さんや大人の女性によりお薦めいたします。
(私のお辞儀をなめんなよさん 40代・その他の方 女の子6歳)
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