ある山の洞窟に、4ひきのこぐまと、おじいさんぐまがすんでいました。 おじいさんは本を1冊持っていて、4ひきのこぐま、ロナルド、ドナルド、ハロルド、サムに、よく読んでくれました。その本のタイトルは、『りっぱな くまの するべきことが よくわかる ほん』。 「いいか、『りっぱな くまの するべきことは、よく きに のぼり、よく ひるねを し、よく さんぽを して、よく さかなを つるべし』ということじゃ。わかったかな?」 こぐまたちは「りっぱなくま」になるべく努力するのですが、どれもうまくいかず失敗ばかり。 かわりに4ひきは、それぞれ愉快な特技を身につけます。けれどもそれは、本にある「りっぱなくまのするべきこと」とは全く関係のないものでした。 可愛い孫のため一生懸命手本をみせるおじいさんを尻目に、自分勝手に特技を披露するマイペースなこぐまたち。とうとう、おじいさんぐまは、怒ってこぐまたちの夕飯をぬきにしてしまいます。こぐまたちは、いったいどうなるんでしょう。おじいさんの望むりっぱなくまになれるのでしょうか?
何より印象的なのが、こぐまたちの豊かな表情!自分の特技を披露しているときのいきいきと楽しそうな顔ったら。「りっぱなくま」修行に取り組む表情とのあまりの違いに、おじいさんでなくとも、トホホ・・・となりそうですが、読んでいる子どもたちは、きっとすっかり共感してしまうでしょう。夢中になれることが正しい!単純明快、そこには理屈なんかありません。大人はちょっと身につまされる物語の展開にも、子どもたちは大喜び間違いなしですね。
人間味あふれるユーモラスなお話と、あたたかい筆致のモノクロームのくまたちの絵が、アーノルド・ローベル作品ならではの味わいのある作品です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
おじいちゃんとどうくつで暮らす4匹のこぐまたち。おじいちゃんの本に書いてある”りっぱなくま”になろうと奮闘するのですが…。やんちゃなこぐまたちと真面目なおじいちゃんのユーモア溢れる楽しい絵本です。
アーノルド・ローベルの作品で日本では2014年に出版されています。
このお話に登場するクマたちはとても花が大きく、パッと見た限りではクマというよりコアラです。
そういうところも個性があって面白いなぁと、読み進みました。
「こうあるべき」「これこそ正しいこと」という大人(おじいさん)
やってみたけど、同じことはできなくて、それぞれが自分のできる特技を身につける4匹のこぐまたち。
その流れが、ローベルらしい優しいタッチで描かれていました。
全体がモノクロの絵柄なので、あまり遠目がききません。大勢入り場所での読み聞かせより、自分のお子さんたちの寝物語に読んであげるといいかもしれません。 (てんぐざるさん 50代・ママ 女の子22歳、女の子17歳)
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