「うまれて はじめて てらしたのは、うまれて まもない あかちゃんと、しあわせそうに わらっている かぞく。 オレンジいろの 小さな火が、くらいへやを いっしょうけんめい あかるくします」 女の子が生まれたとき、ろうそくは初めて火を灯されました。 それからは、いつも大切な時間に、家族はろうそくに火を灯しました。ろうそくは、家族の幸せな時間を照らし、女の子がつらいときにはよりそうあかりになり、その小さな火で女の子と家族を見守り続けたのです。思い出の数が増えるごとに、ろうそくは溶けて小さくなっていきました。 やがて女の子が大人になると、今度は女の子の新しい家族を照らしました。しかし時の流れとともに、ろうそくは使われることがなくなっていきます。
暗闇に灯るやさしいろうそくの光。ちらちら揺れる炎の動きは、語りかけると首をふったり、うなづいてくれているよう。女の子にとってろうそくは、いつも心強い味方でした。ろうそくに照らされた女の子の顔は、どの時代も柔らかなオレンジ色に包まれ、幸せそうです。 女の子の時間を照らしてきたろうそくの光は、いつしか、いのちの灯りと重なっていき・・・。
ぬくもりのある絵と叙情的な言葉が、優しく心に触れる、ろうそくのあかりのように心に灯る一冊です。 大人の方にもおすすめしたい絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
一本のろうそくがともすやさしいあかりは、少女の心のよりどころだった。 やがて少女は大人になり、ろうそくは木箱の中で長い時間を過ごすようになり・・・。 詩情あふれる文章と美しく幻想的なイラストで描く感動作。
これは子供にも大人にもぜひ読んでもらいたい、心の深いところに残るすばらしい作品です。
たまたま紹介文を読んで興味を持ち、直ちに登録して全ページためしよみにて拝読しました。このような経験をさせてくれたことに大いに感謝します。とともに、是非後日購入して、手元に置いてじっくり読みたいと思いました。
この絵本を子供が読むと、あかりのありがたさ、ろうそくのあかりに包まれるあたたかい気持ち、などがきっと心に刻まれることでしょう。おはなしの内容は平易で心にじん、とくるものですし、絵がまた、それにぴったりの柔らかなタッチで、実にみごとです。わが家は子供たちがもう成人してしまいましたが、小学校中高学年くらいの頃に読ませたかった、と強く思いました。
そして大人が読むと、これは「愛情」というものの本質を、みごとに表現した佳作であることがすぐに感じ取れます。読みながら私はまず、自分の親の愛情がこのろうそくそのものだったと思え、つぎに自分の子供たちに対する気持ちもこのろうそくと同じなのではないかと感じ、そして読後は何とも言えないあたたかい気分に満たされました。オスカー・ワイルドの名作「幸福の王子」の話が、読みながら何度も頭をよぎりました。
子供・大人を問わず、心に残る絵本として、是非おすすめしたいです。 (一歩前進さん 50代・パパ )
|