2014年、88歳の今も次々と新作を発表しているかこさとし先生。いつも子どもの心に寄り添っている先生の作品は、親子代々にわたり長く愛されています。 この<かこさとし むかしばなしの本>シリーズは、面白いむかしばなしの中に、「いわれのない不当な苦しさを強いられ、辛さの底に落とされた時、どうすれば良いか。どう考え、行動しなければならないか」を私たちに問いかける問題作です。 復刊第4弾は、『ぬればやまの ちいさなにんじゃ』。 オニに家族を殺されたカラスの子が、黒い忍者に姿を変え、ぬればやまに隠れ住む年老いた天狗のもとを訪ねます。何とか天狗に弟子入りした小さな忍者は、天狗による数々の厳しい修行に耐え、家族を殺したオニを倒すための力を身につけていきます。いよいよ、オニとの対決の日。邪悪なオニの攻撃で、小さな忍者にピンチが!オニとの壮絶な戦いの結末は…!? 生きているからには、やさしさと同様、時には強さやたくましさや激しさが求められると説く、かこさとし先生。 子ども社会も、生きにくくなっている今だからこそ、ぜひ、親子で読んで欲しいシリーズです。このシリーズを読んで「負けない心」を育んでください。
カラスの子あきちが、父、母、妹の仇を討ちたい一心で、天狗のもとで厳しい修行に耐えることが出来たのは、家に火をつけて父、母、妹を焼け死にさせた黒鬼を退治したい為でした。「忍術とは勝つことだ。敵に勝つより前に自分に勝つことだ。忍術とは、耐え忍ぶことだ。どんな苦しみにも耐えることだ。」カラスの子あきちは、家族思いで家族を愛おしく思っているから成し遂げたと思いました。毒針が腕にささっても、腕の肉を自分で食いちぎったり、黒鬼に掴まれていた足をこづかを抜いて自分の足をスパッと切ってしまったりして気を失って倒れてしまったけれど、心配して様子を見に来た天狗に助けられてよかったです。傷が治ったあきちが年老いた天狗に仕え、元気にぬればやまで暮らしたというエンドに読んでいても幸せを貰いました。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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