映画化された『お引越し』、『ごめん』など新機軸の児童文学を生み出し続けるひこ・田中さんの描いた小さな小さな恋の物語を、『りんごかもしれない』、『りゆうがあります』などの大ヒットで飛ぶ鳥を落とす勢いのイラストレーター、ヨシタケシンスケさんが、豊富な挿絵でさらにさらに世界をふくらませた一冊です。 8歳だって、恋をするんです! ハルは、「大人は本当にややこしくて、がまん強い生き物だな」って思っている小学2年生。 カナは、停留所ごとにバスに乗ったり降りたりするカエルを思い浮かべているうちに、数を数えるのが好きになった、やっぱり小学2年生。 ハルは、休み時間になると、なんで男子は男子と、女子は女子と集まるのかなって不思議に思う。 カナは、ユズやキララといると楽しいし、安心できるけど、それって女の子どうしだからなのかな? って、これまた不思議に感じてる。 でも、ふたりとも、なんだか気持ちが変わってきたことに気がついてたんだ。 「わたし、ハルくんのこと」、「ぼく、カナちゃんのこと」、「もっともっと知りたいな」。
最近、ひこ田中さんの「なりたて中学生」シリーズを読んだばかりだったので、気になって手にしました。
「ハルとカナ」は、しいていうなら「なりたて小学生」ですね。
その年頃ならではの、ちょっとした出来事を上手に見せてくれている楽しい作品でした。
全部で12章。1章だいたい20ページくらいで、1ページに収められているテキスト(文章)も少なく(行間も文字も大きい)、さらりと読める量です。
主人公の「ハルとカナ」は小学2年生。どちらも大変面白い個性を持っている子どもたちです。なので、わりとよくいる「誰かと同じがいい」子どもたちからは、ちょっと「変わってる」と思われがちかもしれません。
作者は彼らの立ち位置を上手に表現してくれているので、
読み手にはとても分かりやすく伝わってきます。
友達の「シュウマ」くんや「ユズ」ちゃん・「キララ」ちゃん」も忘れてはいけない大事な存在です。
世の中には「ハル」みたいな男の子や、「カナ」みたいな女の子は、少なからず何人かいるはずです。
最初は家族のおはなしかと思ったのですが、この作品は淡い初恋のおはなしでした。
お互いはじめて意識した“異性”。それに気づいた時の、子どもらしい戸惑い方が見ていてかわいかったです。
この作品は「ヨシタケシンスケ」さんが挿絵を担当しています。
それがものすごくいおはなしのイメージに合っていて、とてもよかったです。
大人が読んでも楽しい児童書です。
ぜひぜひいろいろな人に読んでもらいたいので、今度どこかでブックトークに使ってみようかな?と考えています。
お薦めするとしたら、現役の小学校1,2年生でゃなくて、それよりちょっとお兄さんお姉さんになった3年生以上の子どもたち。
“ぼく”も“わたし”もこんなときあったな〜。って、思わせてくれる初々しい作品です。
(てんぐざるさん 40代・ママ 女の子21歳、女の子16歳)
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