影絵と聞いてなにをイメージするでしょう?
影絵作家、藤城清治さんの作品は、いわゆる影絵と聞いてイメージするようなものとは趣が異なるかもしれません。 ステンドグラスをほうふつとさせる鮮やかさな色彩をもち、加えて、スクリーンを重ねて描き出す遠近感のある表現が特徴的で、そこにはいつの時代にも映える新鮮な感動があります。
遠くに臨む輪郭のぼやけた山並み。 吹けば消えてしまいそうな雲。 やわらかくにじむ月の光。 そして、おぼろにグラデーションする日の入りの空。
これが影絵かと目を疑うことまちがいなし!
本作ではそんな影絵作家の藤城清治さんが、グリム童話の世界を影絵で描き出しました。
心優しい雪白ちゃんとバラ紅ちゃん。とある冬にふたりは、凍えるクマを家にかくまい、彼と友だちになりました。クマは春のあいだ、盗みを働く小人から宝石を守っているといいます。時は流れ春になり、ふたりは倒れた木にヒゲをからませて弱っている小人を見つけるのですが——「雪代ちゃんとバラ紅ちゃん」
むかしむかし、明かりを灯す道具もない時代。夜になると真っ暗闇になってしまう、お月さまのない国がありました。この国の若者がとなりの国に旅をしたところ、そこで彼らはとても明るい大きなお月さまを見つけるのです。これさえあれば夜でも明るいだろうと、若者たちはお月様を盗んでしまいました——「お月さまのなかった国」
魔女の呪いによって白鳥に変えられ、一日十五分しか人間の姿に戻れない六人の王子。彼らの妹である王女だけが呪いをまぬがれ、なんとか兄たちを人間にもどそうとします。ところが、そのためには六年ものあいだひとことも口をきいてはいけないし、笑ってもいけないというのです——「六羽の白鳥」
他二編を加えた五つのグリム童話が、光と影の芸術によりあざやかな景色を得て浮かびあがります。 藤城清治さんの作品に親しんだ方はもちろん、光をもちいたその新しい絵画世界を知るきっかけにも最適な一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
(c) Seiji Fujishiro / HoriPro
藤城清治が「暮しの手帖」誌に連載した数あるお話の中から選りすぐられた、グリム原作の『雪白ちゃんとバラ紅ちゃん』『お月さまのなかった国』『六羽の白鳥』『土のなかの小人たち』『花にされた子ども』の5つのお話が、はじめて一冊の絵本になりました。 どの物語も作者渾身の影絵に彩られ、輝くような魅力を放っています。最新の印刷技術で美しく表現された、珠玉の影絵絵本。
グリムの5つのお話が藤城さんの影絵の世界に
あまりに美しい影絵で じっくり見たくて・・・・雪白ちゃんとバラ紅ちゃんはインパクトがあります 貧しい家にお母さんと二人の娘ですが、貧乏な暮らしとは思えません
お月さまのなかった国は おもしろいお話です
ラスト お月さまは世界中をまんべんなく照らすようになったというのがお話でありますが おもしろかったです
グリムのお話が藤城さんの影絵の世界で 輝いて見えました
お話の中身より影絵の方が 勝っているかな?
そんな絵本でした
それにしても 藤城さんの影絵は美しいですね
影絵を見ながら お話の世界を味わいたいなあ 贅沢ですね (にぎりすしさん 60代・その他の方 )
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