みどりのカエルと、きいろのカエルが、畑のまんなかでばったり、ゆきあいました。 二匹は互いの色を汚い色だと言いあいます。 そうしてとうとう二匹のカエルは、とっくみあいの大げんか! そこに、冬をしらせる冷たい風が……
「春になったら、このケンカの勝負をつける!」
そう約束を交わして、冬をこすための長い眠りにつく二匹でしたが――
「ごんぎつね」、「手袋を買いに」などで知られる新美南吉の童話、「2ひきのかえる」。 その世界観をあらたなイラストで描き出した一冊。
自然に対する細やかな観察と、動物たちへの慈しみあふれる童話を描く新美南吉。 物語の根底に流れるそうした想いを、絵本作家のしまだ・しほさんが色彩に変えて描き出した、美しく愛らしいイラストが本書のみどころ!
人の暮らしと自然とが混じり合う、懐かしい春の田園風景。 カエルたちの背丈に咲き誇る、色とりどりの草花たち。
暗く寒々しい冬の空気が、あたたかくおだやかな春の色彩に取って代わられるそのコントラストには、肩の力が、ふっ、とぬけてしまいました。
春に目覚めた二匹のカエルが、池にとびこむ場面。
「いけには あたらしく わきでて ラムネのように すがすがしい みずが いっぱいに たたえられてありました」
きらきらと春の陽光をはねかえす池の水面を描いたページは、思わずまぶしいと目を細めてしまいそうになるほどのあざやかさです。
つらく悲しいときにあっては、どんなにやさしい人だって、気持ちがくさくさしてしまうもの。 ゆるせるものもゆるせなかったり、美しいものさえ目障りに見えたり…… 『春』がくるまで、なにもせずじっと寝て待つのも、ひとつの手なのかも。
愛と教訓に富んだ名作日本童話です。
(堀井拓馬 小説家)
畑でゆきあった緑色と黄色の2ひきのかえる。たがいの色の違いからケンカが始まったところへ一陣の風、決着がつかぬままあわてて冬眠に入る。やがて春が来て目覚めた2ひきは、ケンカの続きをするため近くの池へ向かうが──。
昭和10年、日本が戦争にむかっていたころ、21歳の南吉が書いた「なかなおり」の話。
◆編集者コメント◆
かえるが暮らす四季折々の里山が、人の暮らしと共に描きこまれたなつかしい絵本に仕上がりました。
新美さんのおはなしは
子どもの頃、絵のない
文章のもので読んでいますので
自分のイメージがあるわけです
で、絵本になって
絵によっては
ちょっと違うなぁ…とか
残念に思ったりします
が、この作品は、とても素敵です
のどかな田園風景の季節の移り変わりのページ
と
線とベタッと勢いよくなぐり塗り?した感じの
けんかの場面
かと思えば
水のキラキラした場面には
ほ〜〜〜っと、見とれてしまいました
カエルの格好もおかしいんですよ
田植えでどろんこになってふざけているこどもたちの姿もいいです
裏表紙のイラストもいいです (しいら☆さん 50代・その他の方 )
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