◆成長したワニがアヒルを抱えて回想する場面で始まるこの作品は、認知症の祖母と過ごす家族との時間の中で感じた著者の体験をもとに描かれています。◆青い池で出会った赤ちゃんワニとアヒルが、家族となって生きる幸せな時間。そしてワニが大きく頼もしく成長したある日、アヒルの記憶が少しずつ消え始めました…。揺れるふたりの心の中にある、ゆるがない愛情が紡がれていきます。◆子が成長すると、いつの間にか親子の役割が変わる瞬間が訪れます。親がしてくれた多くのことをわが子にしている自分を発見したり、成長していくわが子を楽しみに生きていく両親の姿を介して、自分を発見する時などです。すべての瞬間の記憶の向こう側には、お互いが抱いてきた大切時間が重ねられています。この絵本は、そんな親から子へ子から孫へ、世代を越えていく私たちの姿を描いた絵本です。
認知症の祖母を見守る中で、老いていく親のことを考えながら作った絵本だそうです。
どうしてワニの子どもとアヒルが親子のように育ったのか、深よみするといろいろなことが浮かびますが、肝心なのは親子の逆転でしょう。
いつか子どもは親より大きくなるけれど、親子の関係は変わりません。
そして。親は老いるに従って子どもに帰っていくのです。
子どもの頃にしてもらったことを、今度は親にしていくのは、恩返しなのでしょうか。
あまり生々しくなくてハートフルな絵本でした。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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