薬草とりに出かけた男が森で出会ったのは九色に輝く不思議なしか。 見とれて川に落ちてしまった男を九色のしかが助けました。 このことは誰にも言うなと、しかに口止めされたのに、男は王妃に話してしまいます。 その毛皮を欲しがった王妃のために、王は兵馬とともに森へ出かけると……。
よく知られた仏教説話を台湾の人気絵本作家を絵本化。 古くインドからシルクロードを伝わり、敦煌の壁画にも描かれたこの物語は 日本では宇治拾遺物語や今昔物語に「五色のしか」というお話として伝わっています。
「くしき」?
これはもしや『五色のしか』?
小学校3年の国語の教科書に載っていました。
半世紀近く前ですけど…
ストーリーの記憶は曖昧ですが
「ごしょく」ではなく「ごしき」と読むのがめずらしく
印象に残っていました。
『九色のしか』の巻末の説明により
インドの物語が中国に伝わり
それが日本では今昔物語や宇治拾遺物語の「五色のしか」になったと知りました。
「欲は人を恩知らずにしてしまうもの」
それは薬草とりだけではなく
この世で一番美しい毛皮を纏いさえすれば
この世で一番美しい王妃になれると考える王妃もまた然り。
人間誰もが多かれ少なかれ王妃で薬草とり。
私も化粧品や洋服にたよらず
過ごし方や考え方、生き方で美しくなるのを目指すとしましょう。
学生時代、
ゼミの先生が退官される際にくださったお話があるのです。
「人間、胃袋はひとつしかないのだから、それがいっぱいになれば充分なんですよ。欲張らないで生きなさい。」
この本を読み、また思い出しかみしめています。 (白井音子さん 60代・その他の方 )
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