ソエは、机の上に地図をひろげます。生まれてからずっと暮らしてきた町の地図です。明日にはこの町を離れなくてはいけないのです。戦争のせいで、家族とともに逃げなければならなくなったのです。
ソエは、10年の間に楽しいことがあった場所に、しるしをつけてみます。自分の家、おじいちゃんとおばあちゃんの家、学校に図書館、町の真ん中にある公園にも。さらに映画館や川にかかる橋にも。その思い出の場所を線でつなげてみます。すると驚いたことに……!
ソエにしあわせな時をくれた場所の数々。どうしてそれらを失わなくてはならないのでしょう。戦争によって起こる理不尽な現実の数々に打ちのめされながら、それでも彼女が必死に心の中に残そうとしているものは、思い出の中にある楽しかった時間です。
たとえどんなに小さくとも。そこに希望の光があるならば。この絵本を読みながら、しっかりと受け止めていかなくてはならないと思うのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
生まれてからずっと、この町で暮らしてきたソエ。でもあるとき、戦争のせいで、家族と逃げなければならなくなりました。町を出るまえの晩、ソエはつくえに地図をひろげて、楽しいことがあった場所にしるしをつけてみました。すると……。戦争の哀しさ、理不尽さ、そして小さな希望が切々と描かれる、こころにひびく絵本。
ロシアのウクライナ進行から
ニュースで、爆撃を受けた都市の映像を見ない日はないです。
そんな時に、この本に出合いました。
地図の上に
楽しい思い出のいっぱい詰まった場所を探して
印をつける主人公。
そこに浮かびあがる文字。
戦争が終わって、いつか戻ってくる日のために
その地図をもって町を出るのですが・・。
悲しいけれど
その地図はきっと、景色を変えてしまうであろうことが
示唆されています・・。
せめて
新しい地図が描ける日が来ることを祈ります。 (やこちんさん 50代・ママ 女の子17歳)
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