ある真夏の日、熱を出して寝ている男の子。そばではママがつきっきりで看病をしています。ママが疲れてうとうとしはじめたその時、男の子の枕元から聞こえてくる小さな声に、目を覚まします。
「ん? マ……マ……」
ところが、そこにいるのは小さな小さな妖精たち。手のひらに乗るほどの彼女たちが、ママの代わりに看病をしてくれているのです。そして、隣で寝入っているママを見つけて、
「しばらく あわないうちに すっかり ママらしくなって」
なんて言うのです。ママのことを知ってるの? すると妖精たちは、ママが小さかった頃に一緒に遊んだ思い出を話してくれて……。
ママと男の子の心の交流を、妖精を通してあたたかく描き出すこの絵本。まずなんと言っても最初に目を引くのは、可愛らしい小花模様のチマチョゴリに身を包んだ女の子が描かれた表紙の絵。作者は伝統的な技法を現代的にアレンジしながら、デザイン的に優れた作品を発表し韓国で高い人気をほこる画家、シン・ソンミさん。美しく気品あふれる画面と、ファンタジー要素たっぷりに描かれる妖精たちとの組み合わせは、一度見たら忘れられないほど魅力的。独特の世界観を生み出しています。
妖精たちの姿というのは、子どもにしか見えないのでしょうか。大人になると、その存在すら忘れてしまうのでしょうか。また再び出会うことができれば……。小さな花のゆびわをきっかけに、妖精たちのことを思い出したママの様子を見ながら、そんな希望をほのかに抱いてしまうのです。
妖精たちの前では、ママも息子もおんなじ子ども。親子それぞれの記憶に残っていきそうなこの一冊。思い出した時に、またそっと開きたくなるのでしょうね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
男の子が熱を出して寝ています。そばには、看病をするママ。真夜中、ママがつかれてうとうとしはじめた時、小さな妖精たちがあらわれました。目を覚ました男の子に妖精たちは「あたしたちはママのお友だちよ」といい、小さかったころのママが妖精たちにプレゼントした花のゆびわを見せてくれました……。小さかった頃のママと男の子の心の交流を描くあたたかく美しい物語。 伝統的な技法を現代的にアレンジしながら、デザイン的に優れた作品を発表し韓国で高い人気をほこるイラストレーター、シン・ソンミ氏の初の絵本です。
熱をだした男の子と、看病するお母さんがいます。
疲れて眠ってしまったお母さんと、現れた小さな妖精たち。
東洋画を学んだという、著者の写実的で日本画を思い起こすような世界に魅了されてしまいました。
母と子の関係が、男の子と同年代に若がえった姉と弟載っているくらいが関係に変わって、一緒に遊ぶ、不思議なシーンに、ノスタルジックなファンタジーを感じました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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