風がなくても炎がゆれる、幻想的な灯り。ススが出にくく、周りを汚さない。しかも石油を使わず、とてもエコ! 職人の手により、西洋ろうそくとは異なる製法で作り出される「和ろうそく」。 そんな和ろうそくがタイトルになっている本書で描かれるのは、和ろうそくの魅力……ではなく、和ろうそくを手ずから生み出す職人のワザ……でもありません。
本書でフォーカスされているのは、日本で働くモノづくり職人たちの、壮大な仕事のつながりです。
愛知県の和ろうそく職人からはじまり、次は蝋の原料であるハゼの実を収穫する「ちぎりこさん」を訪ねます。そして、ハゼの実から蝋を作る長崎県の蝋職人の元へ。さらに、蝋を作るときに出る「蝋カス」を引き取って、自らの仕事に活かす福岡県の藍染職人、藍染の染液を作る過程で出る木の灰を必要とする大分県の焼き物職人と、「和ろうそく」から始まった繋がりが続きます。
「ひとつの役割を終えたものが、つぎの職人の手によって、また生き返る。 そしてめぐりめぐって、 ぼくたちが毎日使う器になってもどってくる」
和ろうそくの材料である蝋、そして和紙や灯芯、真綿。それらがどんな職人たちの仕事を経て、和ろうそく職人の元に届いているのかをたどる壮大な旅は、なんと9つの県をまたぎ、12の職人へとつながります。そうしてたどり着いた場所で、著者はこの国モノづくりの源流をとらえます。
「土を耕す人たちが、ものづくりの最初の人たちだった」 「どの職人も、季節にそって動き、土や水や光から育った材料をいただいていた」
『もったいない』の精神が根付くこの国で脈々と受け継がれてきた、ムダのないモノづくりの輪。 SDGsなクールジャパンの伝統とモノづくりを、ユニークな視点からとらえたお仕事写真絵本です。
(堀井拓馬 小説家)
和ろうそくのもとをたどっていくと、 使い終わったものがまた次にいかされ、藍染、和紙、 墨…と、さまざまな仕事がつながっていった。季節に添い、捨てるものがなかった暮らし。今もつながる日本の文化を、大西暢夫が伝える。
表紙の美しく光る炎に惹かれ、手に取りました。
電気のない時代に暮らしの明かりだった和ろうそく。今でも昔から続く技で一本ずつ手作業で作られているそうです。その制作過程を辿った写真絵本です。
ろうは植物のハゼの実から絞り、その搾かすは藍染に使われ、その染色液にたまった灰は焼き物に使われるそう。「捨てるものが何もない」というのが、気持ちの良いモノづくりだなと思いました。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)
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