ちいさな体で世界を見たら、見知ったものも見知った場所も、幻想的な光景に!
「たんぽぽの わたげは どこに とんで いくのかな。 みにいきたいな」
ある日そんなふうに考えたのは、ちいさな、ちいさな、女の子のぽぽん。そこでぽぽんは、たんぽぽの綿毛と、どんぐりのぼうしで、ちいさな、ちいさな、空とぶ船を作りました。
「わぁ。すごい! きっと とおくまで とぶよ」
たんぽぽの船は風にのって、ふわり、ふわり。ところが、綿毛はすぐに風に飛ばされてしまって、船は地面に落ちてしまいます。するとそこに、ぽぽんと同じようにとってもちいさな体の動物たちがあらわれて──。たんぽぽの綿毛をくっつけた船で空を飛ぶという愛らしい世界を、やわらかなタッチで描き出した一冊。
たんぽぽの花に座って、風に吹かれながら絵を描くぽぽん。背の低い草の合間から差し込む光の中を、うさぎについて歩くシーン。ちいさな動物たちが列になり、自分の体ほどもあるたんぽぽの綿毛を運ぶ光景。まるで、おだやかなお昼寝のさなかに見た夢のよう! 特に、空を泳ぐ雲にように空をゆく、綿毛でいっぱいのたんぽぽの船を描いた終盤の絵は、かわいらしくもどこか、神々しくさえ見えます。
無邪気で、あたたかなイマジネーションにあふれた絵のすべて々がみどころ。ワクワクとホッコリが同居する、ちいさな少女のおおきな冒険物語です。
(堀井拓馬 小説家)
まるやまあやこが描く、たんぽぽの綿毛にみちびかれた、心あたたまる物語
「たんぽぽの わたげは どこに どんで いくのかな。みにいきたいな」 たんぽぽの上に住む、小さな女の子ぽぽんとちいさな犬のぽんたの、たんぽぽの綿毛にみちびかれた心あたたまるファンタジー。 光につつまれた美しく幻想的な絵で、物語の世界に魅了されます。 大人から子どもまで、夢がふくらみ、心に響く一冊です。
作者の大学時代の卒業制作が基になっているそうです。
そして安曇野の御船祭からヒントを得たそうです。
まるやまさんが描いた船は祭りの船とそっくりですが、壮大な祭り船をたんぽぽのわた毛と結びつけたところが素晴らしいと思いました。
幻想的で、夢のある絵本です。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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