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ちいさな船が海を進んでいくと、嵐がやってきて海は大荒れに。ヘリコプターに吊り上げられて助けられますが、地面の上に置かれてしまい、もうどこへも行けない、おしまいだとなげきます。そこへ他の船がやってきて「その気になれば、どこだって進めるものだよ」と声をかけます。ちいさな船はその気になって、山や畑、街の中をどんどん進みます。絵本作家として50年、五味太郎さんの集大成作品です。

想像する絵本です。
自分が船だとしたら、どんな船なのでしょう。
大きな船に馬鹿にされたりします。
他の船たちに聞かれても、自分が何をしたいのか、どこへ向かうのかもわかりません。
大切な舵を落としてしまったり、嵐で沈んでしまったり、順調満帆とはいかない船かもしれません。
廃船にされてしまったりするイメージでは落ち込みました。
でも、灯台に言われた一言で、船は新しい世界に入っていくのです。
「水に入って進もうとすることにこだわりすぎているんだよ、その時になればどこへだって進めるものだよ」
とてもすごい言葉です。
船は、水に浮かぶという固定概念から解放されて自由な世界で進み始めます。
僕は僕なんだという、思考転換がこの絵本を別物にしてくれました。
人生行き詰まった時に、灯台になってくれる絵本だと思いました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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