フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ3巻は、グリム童話『カエルの王さま』。 お姫様が、お気に入りの毬を泉に落として困っていると、言葉を話す不思議なカエルが現れました。お姫様はカエルに、毬を取って来てくれたら、カエルを自分の相棒にし、食事も眠る時も一緒に過ごすと約束します。 けれども、毬が戻って来ると、お姫様はカエルとの約束を守ろうとしませんでした。 しかしその後、カエルがお城までやってきてしまったから、さあ大変。厳格な父王に約束を守るよう叱られ、お姫様は仕方なく、同じお皿で食事をし、眠る時間になると自分の部屋へ連れて行きます。だけど、やっぱり一緒に寝るなんてがまんができない! お姫様は思わず、カエルを壁にたたきつけてしまいます。すると…。
この有名な変身物語を格調高く語るのは、作家、江國香織さん。選び抜かれた美しい文章によって、不思議な物語にすっとひきこんでくれます。 また、カエルになった王子の家来「ハインリッヒ」についてのあまり知られていない続編が入っているのもこの絵本ならでは。どちらもどこか奇妙な味わいが魅力の物語で、一度読んだら忘れられなくなりそう。昔話が持つ、そこはかとない恐ろしさをも感じさせますね。
繊細で美しい線による、ロマンチックな世界を描く宇野亞喜良さんのイラストが、このストーリーにぴったり。宇野亞喜良さんファンにもたまらない一冊ですね。 文と絵の、最高に贅沢なコラボレーションをお楽しみください。
(長安さほ 編集者・ライター)
池に毬を落とした王女様に、ある”約束”をしてカエルが毬を取ってきた。その翌日、王女様のお城では……。江國さんの美しい言葉と、さすがと唸らずにはいられないうのさんの絵が完璧な極上の絵本。
絵がとても美しくて、文章との取り合わせが、絶妙だと思いました。
まさにおとなのための絵本で美しいです。
王様がたいへん立派な方でした。
でもこのお姫様は、わがままですよね。
壁にたたきつけられたカエルが王子様にもどったのはなぜかしら。
忠実なハインリヒはどう思ったのでしょうか。 (capellaさん 60代・じいじ・ばあば )
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