かさぶた、できたことがありますね。「ひざこぞうをすりむいたときに、できた」「ナイフで切って、できた」などなど。かさぶたは、血でできた傷のふたなんだよ。まるで、しぜんのバンソウコウみたい。ほら、かさぶたのしたでは、新しい皮膚がどんどん作られています。こどもに身近なかさぶたをめぐってユーモラスに展開しながら、身体の不思議をときあかしていく科学絵本です。
ある会話の中で、柳生弦一郎さんがおっしゃったひと言、「かさぶたって、バンソウコウなんだよね」──が、この絵本が生まれるきっかけになりました。なるほど、そういえばたしかに、しぜんのバンソウコウですね。子ども時代には、みんなひとつやふたつは必ず身にもっていて、しだいに堅く、色もこくなり、かゆくてはがしたくて、それでも痛くてはがせなくて、いつのまにかみように親近感さえもわいてくるかさぶた。さっそく、柳生さんをおさそいして、幼稚園をたずねて、現在の子どもたちからかさぶたの取材、聞き取り、そしてりっぱなかさぶたの撮影までさせていただきました。「ぼく、かさぶたを食べたことあるよ。まずかったあ」という本文中の言葉は、この取材の中で聞いてきたものです。年長児クラスの全員、ひとりのこらずかさぶたをもっていましたよ。
子供の幼稚園での福音館の絵本に関する講演をきっかけに、この絵本を知りました。実際には複雑で難しい内容を扱っているにも関わらず、とても面白く、子供に興味を持たせるよう工夫されているのに驚きました。柳生弦一郎さんの絵は分かり易くユニークで、子供も大喜びで食いついていました。また「かさぶたなんてとっちゃえ〜ベリベリ」など、本の中のセリフを覚えて楽しんでいます。理科離れといわれている今日、こういった本が、科学への興味を持ち、将来的に深めていく可能性を持っていると思います。また、「かさぶたくん」だけでなく、他のシリーズもとてもオススメです。 (麗ままさん 30代・ママ 女の子6歳、男の子1歳)
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