フェリシモ出版の「おはなしたからばこ」シリーズ25巻は、森に生きるものたちの様子を写した壮大な写真絵本『森にめぐるいのち』です。
姉崎一馬さんは、『はるにれ』(アリス館)や『ふたごのき』(偕成社)などで、物言わぬ木々たちの雄弁な姿を伝えてくれる自然写真家。片山令子さんは、『夏のかんむり』(地方・小出版流通センター)や『雪とケーキ』(村松書館)などの詩集をはじめ、絵本の翻訳や文章を数多く手がけている絵本作家です。
『森にめぐるいのち』には、姉崎さんが日本各地の森を巡って出会った木々の姿――芽吹きや成長、倒木などが飾ることなく赤裸々に写し出されています。ページを見ているだけで、木々の間を流れる風の温かさや、土の匂いまで感じられるような臨場感。そこに、ピッタリと寄り添うように紡がれている片山さんの言葉。過剰な表現は一切なく、的確に。事実だけを語っているようでいて、木々たちが本当にそう思っている様に、私たちに伝えてくれています。言葉と写真が一体となって、読者を森の中にいざなってくれているよう。
読み終わったら、絵本から感じた「森とわたしのいのちがいれかわり……ぐるぐるまわる。」人間も自然の一部であること、木や森やそこに生きる動植物と同じように命が巡っているということを実際に森へ行って感じたくなる作品です。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
長い間生きてきた大木が倒れる時、森が震え、地面が揺れる。 大木の広げていた葉っぱが取り払われ、ぽっかりと窓が開く。 見上げると切り取ったような空が見え、明るくなった大地からは新しい芽が伸びていく。 森もまたゆっくりと変化していくことを教えてくれる写真絵本。森をめぐるのは季節、水、空気……。 呼吸する息が、森の木々に吸い込まれ、酸素となってまた戻ってくる。これもいのちのめぐり。 森と私たちは遠く離れているようで、呼吸という一番大切な営みでつながっていたのです。 「終わってしまうものなど何もない」のでしょう。 日本の森を撮り続ける写真家と穏やかで美しい言葉で語り続ける詩人の、初めてのコラボレーション絵本。
小学生くらいの子ならこの本を理解してくれると思います。見ているだけでも大自然を感じ、今自分が森の中にいるかのような気持ちになります。自然そのままの写真と文章がとても心に響きます。素晴らしい作品だと思います。植物も人間も生きているんだなあってすごく感じます。 (ピンクちゃんさん 40代・ママ 女の子14歳、男の子7歳)
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