トリックアート画家、ロブ・ゴンサルヴェスの描くだまし絵の絵本シリーズ、第三弾。
「想像してごらん 海のためき 波のささやき スーツケースからこぼれだし あなたを夢の世界へ つれてゆく そんな場所を・・・・・・」
「ほら、ここは」のフレーズからはじまる一遍の詩で飾られた、現実と幻想の混じり合った、美しいだまし絵の世界。
床に貝殻を並べ、遠い海に想いをはせる少年の部屋には、本物の海がどこまでも広がり―― 凍った夜の川の上、スケートをする子どもたちが掲げたランプは、夜空と溶けて星になる――
遠く離れたふたつの場所、ふたつの時間。 あるいは広大な風景と、人々の小さな営み。 本来は隔たって存在するはずのものたちが、 一枚の絵の中で、継ぎ目なく、矛盾なく、混ざり合っています。
奇妙な説得力を伴った、現実的はあり得ないはずのその光景に臨むと、あの感覚を思い出します。 夢の中で起きる不条理で奇妙なできごとを、夢の中では不自然に感じることができないような、あの不思議な感覚を。
一枚の絵の中に、現実では想定しえないダイナミックな視点の変化が描かれているので、それが作品全体に独特の動きを生んでいます。 ふたつの遠い世界を行き来する道中に放り込まれたような、その動きと変化こそが本作のみどころ。
想像力の奔流に身をもまれて、ふらふらと夢を泳ぐ。 そんな、他ではなかなか得られない読書体験を味わわせてくれる一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
想像してごらん。夏の夜、風があなたと夜明けまで踊る、そんな場所を……。 カナダの画家ロブ・ゴンサルヴェスがえがく、眠りとめざめのあいだの時間。 想像力にみちたイラストレーションが、見るものを奇妙な世界へさそいこむ。
絵本でいいんですか?と作者に聞きたくなるほど、どのページの世界も芸術性にあふれたとても素晴らしい
『どこにもない場所』の絵でした。
そして、邦訳は私の好きな金原瑞人さんではありませんか!
絵の邪魔にならないソフトな邦訳、文は短いですが、こちらも素敵です。
どれもこれも素敵な、そして不思議な世界ですが、もし自分のうちにこの中のどれか一つの絵を飾るとしたら、私は空と湖(かな?)の境目がなくなった場所で、ランプ片手に夜のスケートをしている。このイラストが
いいです!!
実はこのランプが遠くになると星に見えるってところがサイコー!!
ぜひ、じっくり眺めて楽しんでください。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子11歳)
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