一本の樺の木など、自分にどれほどの価値があるものかと、土神は繰り返し自分で自分に教えた。それでもどうしても悲しくて仕方なかったのだ。ことに、ちょっとでもあの狐のことを思い出したら、まるで体が灼けるくらい辛かったのだ。 星の話、ハイネの詩集、美学の話……。宮沢賢治自身の興味・知識の片鱗を感じさせるモチーフが、ロマンチックに散りばめられた中に、人間性の幅や悩みの深さを感じさせる、賢治自身の肉声をきくような物語を、画家大畑いくのが色鮮やかに美しく渾身をこめて描いた作品。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
【著者プロフィール】 大畑いくの 1973年、神奈川県横浜市生まれ。アメリカワイオミング州のウェスタンワイオミングコミュニティカレッジで油絵を学ぶ。2005年、東京・中野での初個展以来、数々の個展、グループ展、ライブペインティング、挿絵の仕事で活躍中。作品に、「貝になる木」(編集工房くう)「そらのおっぱい」(スズキコージ/文 農山漁村文化協会)「ハナノマチ」(白泉社)などがある。
このお話は知りませんでした。
宮沢賢治という人は、つくづくいろいろな引き出しを持っているすっかさんだったのだな〜と、感じます。
このはじまり方で、ラストがこう来るとは思っていませんでした。
「神」も迷ったり戸惑ったり、道を誤ったりするんだよ。と、宮沢賢治自身が言っているようでした。
むしろ一見、ずる賢そうに見せていたけれど、“樺の木”にいいところを見せたいだけだったきつねの方がよほど優しい子でしたよ〜。もう、びっくり!
最近、ミキハウスさんが出版している「宮沢賢治の本」シリーズはどれも見ごたえがあって、
素敵な画家さんたちが、素晴らしいイマジネーションを駆使して、
それぞれの宮沢賢治の世界を見せてくれているな〜。
と、感動しています。絵本になったおかげで、読みはぐっていた宮澤作品に改めて触れることもできてうれしいです。。
子どもたちにも紹介しやすいので、楽しいです。
この話だと、少々難しいので小学校高学年以上のお子さんたちにお薦めします。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子11歳)
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