人と木は、ずっといっしょに生きてきた。 まつり――。わたしたちが知と技で伝えてきた、「日本のこころ」の結晶。
パリの植物園を舞台にした『大きな木のような人』のあと、身体が「描きたい」と要求するものをなかなか見つけることができないでいた。そんなとき、私は何かに呼ばれるようにして秋祭りに出かけた。私を呼んだのは、鎮守の森の1本の老ケヤキだった。お囃子にさそわれてか、子どもたちが湧くように現れては、大樹の根やこぶこぶに抱きついたりのぼったりしはじめた――。その中にさえらがいた。私は一気に「まつり」にのみこまれていった。(いせ ひでこ)
「ルリユールおじさん」のソフィーが大人になって「大きな木のような人」に登場する。そして「大きな木のような人」の続編でもあるこの絵本。時の流れも感じて感慨深いものがあります。
そして「まつり」の舞台は鹿沼の彫刻屋台祭り。国の重要無形民俗文化財にも指定されているお祭りです。地元にゆかりのある作品ということでさらに嬉しくなりました。
世界中の森の木を守ろうと研究している木の先生。木を切った後に再び新たな命を吹き込む職人さんの知恵。
植える人と切る人。相反する関係のようにも見えるけど、どちらも木を愛し木の命を守っている。
単にきらびやかなお祭りとしてとらえるのではなく、伝統を守り、木と神々と共に暮らす人々をとても生き生きと描いていて、とても素敵なお話でした。
個人的にいせひでこさんの作品が好きで買いましたが、地元が舞台の作品なのでぜひ読み聞かせにも使いたいなと考えています。
「ルリユールおじさん」「大きな木のような人」を知ったうえで読むと尚この作品の素晴らしさが伝わると思うので、ブックトークを交えて読み聞かせをしたいなと考えています。
ただ、内容的に難しいところもあるので、読み聞かせは高学年に限定されてしまうかな。
手紙の部分、木の先生が語るところ、おじいちゃんが語るところ、会話のところ、お囃子の様子。
読むのはちょっと工夫がいるかもしれませんね。 (きよぴこさん 30代・ママ 男の子11歳、男の子9歳)
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