小さな男の子ジョニーは、とても手先が器用。 かなづちで釘を打ったり、のこぎりで木を切ったりして、物を作るのが大好きです。
でも、お父さんもお母さんも、ジョニーの器用さに気づいていません。 「あの子ときたら! またバカなことをやっている」 ジョニーが何かを作りはじめると、必ずそういうのでした。
ある日、ジョニーは大きな振り子時計を作ろうと思い立ちます。 わくわくしてお父さんとお母さんにそのことを話しますが、まともにとりあってはくれません。 学校の先生にさえ、まだ小さいジョニーにそんなことは無理だといわれてしまうし、学校の友だちにもバカにされる始末。
それでも、自分の手で大きな振り子時計を作りたいジョニー。 そのためには、時計の材料となる歯車や振り子を手に入れなければなりませんが――
小さな男の子ジョニーが、夢を叶えるために奮闘するその姿がとても愛らしい一冊。 童話的でわかりやすく、メリハリがあってエンターテイメント性も高いストーリーで、誰にでも安心してオススメできる作品です。 学校の友だちにも、先生にも、両親からさえ笑われながら、それでも夢を叶える意志を曲げないジョニーの強さには、子どもから大人まで、誰もがきっと励まされるはず。
ジョニーは果たして、大きな振り子時計を完成させることができるのでしょうか? 小さな少年の抱いた大きな夢は、やがて思わぬ形で彼の名を国中に知らしめることとなるのでした。
(堀井拓馬 小説家)
ジョニーはもの作りが大好きです。「大時計の作り方」という本を読むうちに、自分でも作りたくなってきます。周りのみんなから「できっこない!」と言われますが…。好きなことに熱中する姿に子どもたちの共感の声が届いています。
ジョニーは物作りが上手な男の子。ある日、本を見ながら大時計作りに挑戦しようと決心しますが、両親も学校の先生もみな、小さなジョニーに時計など作れるはずがないとバカにしました。
その昔、子供を囲む環境はこんなものだったのだろうと胸が痛んだ作品でした。時代は大戦前後ぐらい、舞台は英国です。父親も母親も、学校の先生までもが、時計作りなど「くだらないこと」「ばかなこと」を繰り返し、大人が子供を見下げる視線でジョニーを扱います。先生の心無い一言のためにジョニーがいじめっ子たちにからかわれ涙するところなどは、親だったら胸が締め付けられる場面。もちろん最後はハッピーエンドですが、いろいろなことを考えるきっかけになった作品でした。
子供の人権に関しては、今現在もこういう環境に置かれた子供たちって世界のどこかにいるんだろうなと。他者を嘲る態度とは、一体どんなところから生まれるのか……振り返るきっかけをもらいました。また、好きなことに打ち込むことの素晴らしさを再確認できたことは、自分にとって一種の救いとなりました。人に迷惑をかけず、好きなことをして日々の生活が成り立てば、人間こんなに幸せなことないですね。好きなことよりも富と名誉を優先し、幸せと勘違いすることは多いと思うので。
作中、手書きのふきだしが何ともいえない雰囲気作りを演出していました。時計の部品描写もすごくいい。子供はこういう組み立て図みたいなイラスト、好きですね。
対象は、少々長めのお話で、学校の場面が登場するので小学校低学年から。地味な作品かもしれませんが、人気絵本です。 (ムースさん 40代・ママ 男の子10歳、女の子5歳)
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