変わりゆくものと、変わらないもの。
子どもにとって親は、いつもそこにいてくれる、変わらないもの。 変わらずに自分を受け入れてくれて、帰るべきところがあるからこそ、子ども達は冒険し、挑戦し、変わっていくことができるのでしょう。 この絵本の「さんぽの木」も、変わらず、いつもそこにいてくれる存在です。 主人公のぼくが赤ちゃんだった頃から、さんぽの木はずっとそばにいてくれました。 友達とさんぽの木に登り、むしとり、おにごっこ、暗くなるまで遊びました。 秋のある日には、けんかしていた友達と、さんぽの木の下で仲直りしました。 嬉しいときも、悲しいときも、いつもさんぽの木と一緒でした。 大人になったある日、ぼくは家族を連れて、懐かしいさんぽの木にやってきます。 今では、みんなのさんぽの木でしたが、やっぱり、いつもそこで待っててくれる存在なのでした。
2011年に起きた東日本大震災で、多くの日本人が心の拠り所を失いました。 それまで当たり前だと思っていた「変わらないもの」が、実は当たり前ではなかったことを痛感しました。 この絵本を読み終わった後、ほっと安心する気持ちになるのは、「さんぽの木」がいつも変わらずそこにいてくれる存在として描かれているからでしょう。 人は、変わらないものを心に取り戻すことで、また前に向かって変わっていくことができるのだと思います。 「さんぽの木」が、楽しく安らかな気持ちを、子どもにも大人にももたらしてくれることを願います。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
散歩が大好きなぼくの前には、いつも「さんぽの木」があった。うれしい時も、悲しい時も、いつもそこで待っててくれた。やがてぼくも、「さんぽの木」も大きくなって、もっと大きな世界、たくさんの人とつながり広がっていく。いっぽ、にほ、さんぽ、さんぽのき…と……。
3月11日、未曾有の大災害が日本を襲いました。被災した人に創作者として、何が言えるのか、何をしたらよいのか…どれもこれも偽善に見えてしまう…そんな複雑な思いを抱えながらも、作詞家の前田たかひろさんと、絵本作家のサトシンさん、真珠まりこさんが、スクラムを組んで作ったのがこの絵本です。更に、同じ想いを抱いたソングチームが、絵本の世界を歌で表現したソング絵本CDも本についていて、一つの物語を二つのカタチで表現しました。 ぼくとさんぽの木のつながり、そしてその小さなつながりが、だんだん成長して、家族へ、そしてコミュニティへと、より大きなつながりへと広がっていく……「震災」を思わせる内容、文言はないけれど、これは紛れもなく、あの震災から立ち上がろうとしている人たちへの熱いエールです。
いっぽ、にほ、さんぽのき〜♪
毎日口ずさんでしまします。
ソングブックという形式のこの絵本。
絵本を読んでにっこり、歌を聴いてほっくり、一緒に歌ってまったり。私にとって、肌身離さずの絵本となりました。
いっぽんのきがシンボルツリーとなり子どもの成長をやさしく見守ってくれる。作者さんの『目(木の芽)と目(子どもの瞳)が合ってこんにちは』なんて表現には喜びを共感します。小さい頃娘を公園に連れて行き、木の芽や小さな花のつぼみにケラケラと喜ぶ様子を思い出しました。そういう何でもないことに喜ぶピュアな瞬間がいっぱいありましたよね〜。あおあお〜さわさわ〜季節を表現する言葉にも感動します。
絵の優しさにも心打たれます。日本の季節の美しさが優しいタッチで描かれていて、CDで歌を流しながら絵本を見ていると涙が出てきます。
もう〜言いたくないけれど〜サトシンさんの声が素敵すぎます^^;
しびれます正直。
また、東日本大震災の復興を願ってという作家さんたちの思いにも感動です。巻末の前田たかひろさんの手記にも涙しました。 (yossssy0601さん 40代・ママ 女の子14歳、女の子11歳)
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