表紙のただならぬ雰囲気から、どんなお話が待っているのかと緊張してページをめくってみますと… まず登場するのはおばけの仲人の二人でございます。
…仲人? そう。このお話、妖怪の娘と妖怪の男がお見合いをする、めでたい内容の様なのです。 最初に仲人が訪れたのは娘の家。 「どのような婿をおのぞみかな」 もじもじするばかりの娘の横でおやじどのが答えます。 「まがったところのない男ならば」 次に訪れたのは、まっこと曲がったところのない男のところ。顔も四角です。 「で、どのような嫁をおのぞみかな」 かしこまって男は申します。 「色がしろうて、目がぱっちりで、かわいい口元の」 なんとも贅沢な。それでも仲人が申すには「ぴったりの娘さんがおられます」。 この様なうそを仲人口と言うそうですよ。 さてさて、お見合いが始まりました。 さすがはおばけ、すっかり「色がしろうて、目がぱっちりで、かわいい口元」の可愛らしい娘となってすまし顔。娘は男が望むように、それは見事に化けたものです。化けのかわがはがれることはないのかしら…。
世にも奇妙な妖怪の嫁入り騒動。妖怪の男女がお見合いをして結婚、子どもが産まれるまでを描いた『化物婚礼絵巻』を元に内田麟太郎さんがお話を作られたそうです。それを恐ろしくて妖しくて、見た事のない美しさの雰囲気の絵本にしてしまったのが町田尚子さん。絵本『いるの いないの』の絵で多くの人を震え上がらせた方でもあります。怖いですね…。でも、『おばけにょうぼう』に登場する妖怪はどこかユーモラスでもあります。子どもたちでも大丈夫、じっくりじわじわ妖怪の世界を味わってみてくださいね。 それにしても、化け物の顔と可愛らしく化けた顔。どちらもかなりのインパクトがあります。 美しさと恐ろしさはやっぱり紙一重なのでしょうか…。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
妖怪の男女がお見合いをして結婚、子どもが産まれるまでを描いた『化物婚礼絵巻』(文久3年 松井文庫所蔵)を元に内田麟太郎がお話を作り、町田尚子が絵本化した作品。町田尚子が描く恐ろしくもどこかユーモラスな妖怪達による婚礼絵巻。
妖怪の男女がお見合いをして結婚します。男の妖怪の望むように、「色が白くて目がばっちりで可愛いくちもと」に、化けるのがやっぱり人間も妖怪も女心は一緒なんだと思いました。跡取りも出来てよかったのですが、最後に化けの皮が落ちているので笑えるより、その後のことが気になった私でした。その後の結婚生活が上手くいったらいいなあって思いました。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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