
「わたしは日曜日が大好き、だってパパから電話がかかってくるから。」 外国に働きにいっているパパとはなかなか会えない。だから、その日あったことを書いてあるノートを送ってあげたら1年をプレゼントされたみたいだって、パパは喜んだ。今はまた別のノートに書いているんだ。 日曜日の朝は、ママとおばあちゃんと犬のキケがキッチンに揃ってパパの電話を待っている。 やっと電話がなった!! まちに待ったパパからの電話。ママとおばあちゃんが話し終わるのを待って、大急ぎでパパに大好きだと伝える。だけど、今日はパパから思いがけない言葉があった。 「こっちへ来て、いっしょにくらさないか?」
大好きなパパに会えることになったけど、知らないところに行くのはこわい。 パパと一緒に暮らせるのは嬉しいけれど、みんなと別れるのは・・・。 その瞬間から揺れ始める女の子の素直な心を、作者のシメルは丁寧に描き出します。 実際に同じ立場だったら、どんな気持ちになるんだろう。 出発の支度をしながらおばあちゃん、キケ、そして友達のロシオと静かに別れをかわしていく彼女の行動を追いながら、読んでいる子どもたちもまるで自分のことのように想像をするのでしょう。 そして大人は、どんな時だって自分に素直に物事をしっかりと考えている子どもの姿を見るのでしょう。
お互いに支え合う家族の様子を、うつくしい壁画のようなタッチで描いているリベラによる絵もとても魅力的です。ラテンアメリカの風景や主人公がノートに描いた絵も織り混ざり、彼女の豊かな表情と共に、この作品をとても奥行きの深いものにしています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

外国にはたらきに行っていて、なかなか会えないパパ。いつも楽しみにしている日曜日の電話。ところがそのパパから、「こっちへ来て、いっしょにくらさないか?」といわれ、子どもの心は揺れはじめます。パパに会えるのは、うれしい。でも知らないところへ行くのはこわい。友だちはできるかな。おばあちゃんと、はなれたくない――。 シメルによる文は、子どもの心の動きをみごとにすくい上げていて、強く心にひびいてきます。ラテンアメリカの風景を描きこんだ、リベラによるうつくしい壁画のようなタッチの絵も見応え充分。

パパが単身赴任して、外国で暮らしています。
毎週日曜日にパパからの電話が待ち遠しい女の子の心情を
描いています。パパから、「こっちにきて、いっしょにくらさない
か?」と言われて、嬉しい反面、おばあちゃんや親友のロシオや
イヌのキケと離れ離れになる寂しさで、不安になってしまう様子
が切なく綴られてました。生活が変わるって、大変なことだと思い
ました。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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