NYの町中で11人の大家族と住む少年、サム・グリブリーは家出をする。
都会の少年が向かったのは、キャッツキル山脈。
曾祖父が苦労して開墾したあげく、自分は船乗りになりたいと気付き捨てた、
忘れ去られた山の農場だ。
森の大木の洞に家を造り、一人で自給自足の生活を送る。
少年のサバイバル生活の知恵は、図書館の本から得たもの。
「家出をする」「一人で暮らす」「木の家に住む」
少年の頃、誰もが一度は考えることをサムは見事にたった一人で成し遂げる。
厳しい山の冬も、知恵を絞って越してしまった。
山の大自然、豊かさ、美しさ、恐ろしさ、寂しさ、厳しさ。
少年の心の葛藤。
見守る大人達の、大らな温かさ。
大人からするとありえないような話しだが、生き生きとして面白く、あって欲しいと願いたくなる。
50年前にアメリカで出版された児童書だが、古さは全くない。
それは、どの時代の少年もサムのような願望を抱き続けているからだろう。
著者の後書き「家出するなら行き先は都会よりも森の方がまし!」の言葉に共感した。