「まんがを読むと馬鹿になる」とか「大学生にもなってまんがばかり読んで」とか
昭和30年代や40年代にはよく耳にしたものだ。
あの手塚治虫さんの漫画も「有害図書」と非難されたこともあった。
それがどうだろう。
今やマンガ文化は日本の文化を代表するものになって、
一コマ漫画、四コマ漫画、ストーリー漫画にとどまらず。
この本のように「学習まんが」として伝記も扱うのだから
もし昭和30年代の大人たちが知ったら腰を抜かすのではないだろうか。
この「学習まんが」は2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」に合わせて、
江戸時代中期の「カリスマ出版人」蔦屋重三郎を描いた「伝記まんが」だ。
手っ取り早く、蔦重の生涯を知りたい人にはうってつけの一冊。
「いい大人がまんがなんて」と言う人はいないだろう。
だって、これ、「学習まんが」なんですから。
それでも不安のある人がいるでしょうが、
この「学習まんが」が太田記念美術館の日野原健司さんが監修していて、
最後のページにはちゃんと「参考文献」の記述までしている。
もっとも、子供たちには「吉原」という場所や「遊女」「花魁」といった
やっぱり大人の事情が関係する記述もあるから、大人の説明が必要かも。
もちろん、この本ではこういった言葉もページの欄外に短い説明が載っている。
大河ドラマが始まって、書店には江戸時代や蔦屋重三郎関連の書籍があふれているが、
この『学習まんが世界の伝記NEXT 蔦屋重三郎』は読みやすくて、
予習にはもってこいの一冊。