筋肉に障害をもったまりこちゃんは、養護学校のバスの停留所までの200メートルを40分かけて歩く。
その途中の様々な出来事。
200メートルにいろいろなことが凝縮されている。
200メートルの間にすれ違う人たちの、自分に向ける目。
200メートルの間に自分が目にする風景。
この200メートルとまりこちゃんを理解するのはとても大変なことだと思う。
自分の評価が低いのはこの本のテーマではない。
灰谷さんの思いが重すぎるのである。
淡々と描かれる話が整然とし過ぎていて、説明口調であったり理屈が先に出てしまったり。
時間、距離、単位の克明さは、感性での包容の妨げになるように思う。
長谷川さんの絵が、もっと話を盛り上げれば良いのに、文章の挿絵に終わってしまっている。
ようするに、絵本ではないのである。
この手の本に関心があるだけに残念。
絵本サイズで出版する際、絵と文章が融合することでとても良い本になるのではないか。
短編集の一話としてはとても良い話だと思うのです。
取り出して1冊の本とするとき、もっと効果的に作者の思いを伝える方法があったように思います。