表紙を見た時、とても可愛らしかったのと、ケーキ屋さんのお話なら、美味しそうで楽しいかな?と、思い、読んでみました。(息子や、小学校の読み聞かせに、適しているか知りたくて、読みました。)
最初は、おばけとしては変わり者のケーキ屋さんが、自分のケーキに驚かない女の子に、「このケーキ、世界一美味しい!!」と、言わせたくて、奮闘する姿が、可愛らしく滑稽で、楽しいお話と思ったのですが、女の子と過ごす時間の長さに伴い、お化けと女の子の中に見え隠れする、お互いを思いやる気持ち・優しさを、文章の中に感じ取ることができて、自分も優しい気持ちになることが出来ました。
ケーキ屋さんに女の子が最後に訪れた日、自分が大人になり結婚すること。遠い街へ行くことを報告する場面は、自分が結婚式前日に、両親に感謝を述べた時を思い出させてくれました。
報告を聞いたお化けは、彼女のために、二人の思い出を沢山込めた、ウェディングケーキを作り、自分が朝日にあたって消えてしまうのを覚悟して、結婚式会場へ運びます。
朝、式場に残されたケーキを見て、すぐに誰のケーキか分かった女の子。何故、ケーキを食べて驚かなかったのか、その理由を語ります。理由を知って、思わず涙が出てきてしまいました。
ただ、この女の子は、お化け本人は忘れていても、大好きなお父さんと、長い月日を過ごすことができたので、幸せだったんだろうと思います。
思い出を沢山、増やすことが出来たのですから・・・。
現実は、会いたくても亡くなった方には会えないものです。だから、このお話を読み聞かせるときは、それらを踏まえ、読んであげたいと思います。
一緒にいられる時の大切さ・幸せさを改めて感じさせられる、大人から子供まで、考えさせられることが沢山詰まった、素敵な絵本だと思います。